【8月6日 AFP】シリア政府は5日、イスラム過激派勢力が支配する同国北西部イドリブ(Idlib)県での停戦を撤回し、空爆を再開した。シリア国内に情報源を持つ在英NGOシリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)が明らかにした。

 シリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権に抵抗する勢力は8年間の内戦で支配地域を失い、イドリブ県を最後の拠点としている。同県では現在約300万人が生活している。

 同国北西部では過去3か月、政権軍とロシア軍による激しい空爆で民間人790人余りが死亡している。政府は1日から停戦に入ることに同意したと発表したが、イドリブ県を支配するイスラム過激派勢力は2日、停戦の主要条件の順守を拒否。設置が予定される緩衝地帯から撤退しないと断言した。

 政権軍は5日、イドリブ県に対する作戦の再開を予告するとともに、県内の武力勢力が西方にあるフメイミム(Hmeimim)の空軍基地にロケット弾を突如発射し、「多大な人的、物的損失」を引き起こしたと非難した。

 ロシア国防省はフメイミムの基地で死傷者は出なかったとする一方、シリア治安筋の情報として、ロケットが近隣に落ち、「住民4人が負傷した」と発表した。

 シリア人権監視団は、停戦が撤回された数分後にイドリブ県への空爆が再開されたと明らかにした。

 専門家や住民らは、過去にも数回停戦が失敗してきたことを指摘し、今回の停戦の実現にも懐疑的な姿勢を示していた。

 イドリブ県では、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)傘下の組織を前身とする反体制派連合「タハリール・アルシャーム機構(HTS)」が、1月から大半の地域を支配。隣接するハマ(Hama)、アレッポ(Aleppo)、ラタキア(Latakia)各県の一部と併せて一帯を掌握している。ただし、県内には他の反体制派やイスラム過激派も存在する。

 映像は、イドリブ県南西部ハンシャイフン(Khan Shaykhun)で5日撮影。(c)AFP