【7月31日 AFP】レバノンで来月開催が予定されている国内最大級の音楽祭で、キリスト教徒を侮辱したと批判されているインディーズバンドの出演が、安全上の理由から取りやめとなった。音楽祭の運営委員会が30日、発表した。活動家らは表現の自由に対する攻撃だと非難している。

 このバンドは「マシュロウ・レイラ(Mashrou' Leila)」。ボーカルは同性愛者であることを公表し、アラビア語の歌詞でしばしばタブーとされる社会問題について率直に歌っている。同バンドは今月、レバノン国内で論争を巻き起こしていた。

 レバノンの聖職者らはマシュロウ・レイラの楽曲のうち、「Idols」と「Djin」の2曲について、キリスト教信者を侮辱するものだと非難。地中海沿岸のリゾート都市ビブロス(Byblos)で開催される音楽祭で8月9日に予定されていた同バンド出演の中止を求めていた。また、ソーシャルメディア上では、同バンドが出演すれば音楽祭を襲撃するとの脅迫も投稿されていた。

 バンドに対する苦情は、ボーカルのハメド・シンノ(Hamed Sinno)さんがフェイスブック(Facebook)で行った投稿に関連するもの。問題の投稿には、聖母マリア(Virgin Mary)の顔を米ポップ界の女王マドンナ(Madonna)と入れ替えた画像が含まれていた。

 マシュロウ・レイラは30日、問題の投稿は2015年のもので、1年後に削除されたと説明。さらに、誤った主張や歌詞の曲解により、バンドに対する「意図的な」反対運動が繰り広げられていると批判した。

 音楽祭運営委員会は、出演中止の決定は「流血の回避と(参加者の)安全確保」を目的としたものだと説明している。(c)AFP/Hashem Osseiran and Rita El Hajj