【7月18日 AFP】ロシアは17日、過失で同性カップルに子ども2人の養子縁組を許可したとして、社会福祉当局者に対する前例のない犯罪捜査を開始した。

 ロシアの重大犯罪を捜査する連邦捜査委員会(Investigative Committee)は、2010年から男児2人を同性カップルの家族と同居させていたとして、刑事過失の容疑でモスクワ当局者の捜査を開始したと明らかにした。有罪になれば、罰金か社会奉仕活動を言い渡される可能性がある。

 インタファクス(Interfax)通信は、このような犯罪捜査は前代未聞と報じた。北西部サンクトペテルブルク(St. Petersburg)に拠点を置くLGBT(性的少数者)支援団体「ビホト(Vykhod)」の弁護士も、このようなことは今までなかったとコメントした。

 同弁護士は、現段階ではこの家族に捜査の直接的な影響は及んでいないが、当局者らが有罪となった場合、「国家に養子縁組の無効を求める機会を与える恐れがある」と述べた。

 ロシアでは、同性婚が合法化されている国出身の外国人による養子縁組は禁止されている。しかし国内では合法的な同性婚そのものが不可能であるため、同性カップルによる養子縁組を禁止する法律は存在しない。

 それにもかかわらず連邦捜査委員会は「同性愛のプロパガンダ(宣伝)」禁止法に基づき、養子を迎えた同性愛者の男性を「非伝統的な価値観を喧伝(けんでん)した」として起訴したこともある。この法律は、「ゲイ・プライド」の開催を阻止する根拠として使われ、物議を醸してきた。

 捜査官らは、同性カップルが男児らの「家族観をゆがめ、健康と道徳的・精神的成長を損なった」と主張している。(c)AFP