【7月18日 Xinhua News】中国情報通信研究院がこのほど発表した2019年版「中国インターネット産業の発展状況と景気指数報告」によると、昨年末現在、世界の上場インターネット企業上位30社入りした中国企業は前年から1社増えて10社となった。

 ▽インターネット企業の先頭集団

 報告では、複数の中国企業が世界の上場インターネット企業の「先頭集団」に入っているとし、今回ランク入りした企業として騰訊控股(テンセント、Tencent)、アリババグループ(Alibaba Group)、百度(バイドゥ、Baidu)、網易(ネットイース)、美団点評、京東集団(JD.com)、拼多多(Pinduoduo)、三六零安全科技(360)、携程旅行網(シートリップ、Ctrip)、微博(ウェイボー、Weibo)の10社を挙げた。現在、360の株式がA株市場、テンセントと美団点評の株式が香港市場でそれぞれ取引されており、残る7社はいずれも米国市場で取引される、いわゆる「中国概念株」となっている。

 昨年のテクノロジー企業株のIPO(新規公開)ブームは、中国のインターネット企業にとって、2002年、2014年に続く第3の上場ブームとなった。昨年、中国企業の米国市場への上場件数は過去最多を更新し、米国の400件近いIPOのうち60件以上を「中国概念株」が占め、拼多多や愛奇芸(iQIYI、アイチーイー)、嗶哩嗶哩(bilibili、ビリビリ)、騰訊音楽(テンセント・ミュージック)などの大手が米国市場に上場した。香港証券取引所では、中国内地のニューエコノミー企業の上場を呼び込むため、枠組みの大幅な改革を実施。美団点評や小米科技(シャオミ)などが続々とこの「追い風」に乗った。今回の上場ブームは、垂直分野のリーディングカンパニーが主力となっている。

 ▽転換調整期を迎えたインターネット業界

 報告は中国のインターネット企業に共通する課題も示している。それは、業界が景気後退局面や方向転換期を迎える中、いかに生き残るかというものだ。

 これについて国家統計局のデータを引用し、昨年の中国の上場インターネット企業の事業収入が前年比30%増の1兆8600億元(1元=約16円)になったと発表。2014~2017年の各年の伸び率が47.7%、45.5%、41.5%、38.1%だったことから、減速が著しいと指摘した。これら企業の今年の事業収入は2兆2000億元超と予測されており、伸び率は20~30%とさらなる鈍化が見込まれている。

 報告によると、昨年は中国のインターネット企業の電子商取引(EC)、ゲーム、SNS、検索エンジンという主要4業務でいずれも伸びが減速しており、新たな原動力の成長が待たれる。クラウドコンピューティングやビッグデータ、人工知能(AI)などの業務は、成長が速いものの規模が小さく、まだ業界の成長を効果的に下支えすることはできない。例えば、阿里雲(アリババクラウド)の収益はアリババグループの年間営業収入の6.4%にすぎないが、米アマゾンと米マイクロソフトのクラウド事業収益部門はそれぞれ、営業収入の11%と29.2%を占めている。

 工業・産業インターネット市場は大きな潜在力を秘めている。これは報告が強調する重点の一つであり、またインターネット大手企業が成長のボトルネックに直面した際に突破口を求める一つの方向にもなりつつある。中国のインターネット企業でトップとなったテンセントを例に挙げると、同社は昨年9月末に大規模な組織再編を発表し、新たな全体戦略の高度化における里程標とした。同社董事会主席兼最高経営責任者(CEO)の馬化騰(Pony Ma)氏は、インターネットの「後半戦」は工業・産業インターネットだと指摘。今後、同分野における巨頭間のシェア争いがますます激しくなるとの見方を示している。

 ▽半年間の総入れ替え

 中国と米国の上場インターネット企業上位10社の今年の株価パフォーマンスを整理すると、米国の上位10社は年初以来、いずれも上昇しているが、中国の上位10社は上昇組と下降組に大きく分かれている。

 12日の取引終了時点換算で、中国の上位10社を時価総額順に並べると、テンセントが約4912億ドル(1ドル=約108円)、アリババが4402億ドルでトップ2を占め、以下、美団点評、京東集団、百度、網易、拼多多、携程旅行網、360、微博となっている。

 テンセントは依然として中国の上場インターネット企業でトップの座にあるが、世界のランキングではフェイスブックに抜かれ、トップ3から落ちている。

 美団点評は「成長を加速させているダークホース」となり、中国ではトップ3入りを果たした。香港の大型消費関連株を好む資金の恩恵を受け、消費関連トップ企業の一つである同社もまた、多くの投資家に支持されているとの分析もある。

 最近は一部の金融機関も美団点評の株価上昇の勢いを後押ししており、ゴールドマン・サックスや香港上海銀行(匯豊銀行、HSBC)も相次いで美団の目標株価を引き上げた。中国国際金融(CICC)は美団の目標株価を83香港ドル(1香港ドル=約14円)、投資判断を「アウトパフォーム」に設定。同社が業界の変動期にあっても強い勢いを保ち、自社の強みを生かして新しいビジネスモデルに狙いを定めていると評価している。(c)Xinhua News/AFPBB News