【7月17日 AFP】5年にわたって続いているイエメン内戦で両軍の戦闘に子どもたちが参加していることが、16日に発表された人権団体の報告で明らかになった。この団体は欧米諸国に対し、イエメン内戦に関与する国々への武器の売却を止めるよう強く呼び掛けている。

 報告は「枯れゆく命:2018年のイエメン国内の人権状況(Withering Life: The Human Rights Situation in Yemen 2018 )」と題され、 同国の首都サヌアに拠点を置くNGO、ムワタナ人権機関(Mwatana for Human Rights)がまとめたもの。

 同機関代表のラジャ・アルムタワケル(Radhya Almutawakel)氏は仏パリで開かれた会見で「この戦争は私たちの未来と子どもたちを破壊している」と話し、また 「武器を携えた子どもたちを見かける」ようになったが、「これは2014年以前にはなかったことだ」と述べた。

 報告書によると、「2018年には少女を含む1000人程度の子どもたちが兵士として勧誘または利用された」といい、そのうちの72%はイランの支援を受けるイスラム教シーア派(Shiite)系の反政府武装組織フーシ派(Huthi)による事例だという。 

 アルムタワケル氏は、これまでに2000か所以上の学校が破壊され、「とても多くの地域で、子どもたちが前線に連れていかれ、遺体になって帰ってくる光景が見られる」と話した。

 同氏は、子どもたちが兵士として参加しているのは「金銭的な理由だけではなく、情緒的な環境のせいでもある」と語った。「彼らは自分たちの友達が殺されたから、前線に行くしかないと話す」という。

 イエメンでは、2014年にフーシ派が軍事行動を開始し内戦が勃発。フーシ派は国土の広範囲を支配下に収め、政府は首都から追われた。

 翌年、アラブ首長国連邦(UAE)を含むサウジアラビア主導の連合軍が政府軍を支持し、介入。国連(UN)が世界最悪の人道危機と呼ぶほどの事態となっている。(c)AFP/Anne CHAON