【7月17日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は16日、米国防総省と北大西洋条約機構(NATO)が強く批判しているトルコのロシア製地対空ミサイルシステム「S400」の導入について、責任はバラク・オバマ(Barack Obama)前大統領にあると主張し、トルコに対する制裁については言及を避けた。

 トルコはS400の搬入が12日に始まったと発表している。トランプ氏はトルコがミサイル購入を選択した理由は理解できるとした一方、国防総省がNATOによる米最新鋭ステルス戦闘機F35戦闘機の共同生産計画へのトルコの参加に加え、トルコへの同機100機の売却も凍結したと言及し、「状況は複雑だ」と語った。

 トランプ氏のコメントは一見、F35とS400の併用は米国とNATOの航空システムにとって脅威だと考える米議会や国防総省と食い違っているようにもみえる。

 米上院軍事委員会と外交委員会は12日、トルコに新たな制裁を科し、F35の共同生産計画にトルコを参加させないようトランプ氏に求めた。

 しかしトランプ氏は、かつてトルコのS400導入に強い反対を表明していたほかの政権幹部が沈黙を続けるのと同じように、より柔軟な姿勢を示した。

 昨年10月にトルコ政府が同国で2年にわたり拘束されていた米国人牧師を解放したことについて、トランプ氏は「トルコはわが国と非常に良好な関係にある」と指摘。また「トルコがロシア製ミサイルを購入したことにより、わが国は巨額の航空機を売却できなくなる。公平な状況ではない」と不満を述べた。

 一方で米国務省のモーガン・オータガス(Morgan Ortagus)報道官は16日、ロシアから兵器を調達する国に制裁を科すことを義務付けた2017年成立の法律「米国の敵対者への対抗制裁法(CAATSA)」について、マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)国務長官とトランプ氏が見直しを行っていると明らかにした。

 当初、トルコは2009年に米国の地対空ミサイルシステム「パトリオット(Patriot)」の購入を希望し、オバマ政権は78億ドル(約8400億円)相当の取引を暫定的に承認。しかし、自国の技術基盤強化を目的にトルコ側が一部部品の国内生産を主張し、米国側が難色を示していた。(c)AFP