【7月17日 AFP】マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)米国務長官は16日、ミャンマー国軍のミン・アウン・フライン(Min Aung Hlaing)総司令官ら幹部4人に米国への入国禁止措置を取ったと発表した。同国のイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)に対する「民族浄化」に関与したことを理由としている。米側はミャンマーに対し、残虐な軍事行動への説明を求めている。

 ポンペオ長官は声明で、ミン・アウン・フライン総司令官らが2年前、約74万人のロヒンギャが隣国バングラデシュに逃れる原因となった暴力に関与した「信頼できる証拠」があると指摘。「米国はこの発表により、ビルマ(ミャンマーの旧国名)軍最高指導部に対して公式な措置を取る、最初の政府になる」と述べた。

 同長官は「われわれは、人権侵害と虐待の責任の所在についてビルマ政府が何ら説明をしていないことや、ビルマ軍が同国内で人権侵害と虐待をしているとの報道が続いていることを依然として懸念している」と表明。ミャンマーが5月、ロヒンギャの村人を殺害して有罪判決を受けた兵士7人の釈放を命じたことと、ロヒンギャ弾圧に関する取材を行っていたロイター通信(Reuters)の記者2人が500日余り収監されたことを対比し、怒りを示した。

 国連(UN)の調査官らはロヒンギャをめぐる暴力について、ミャンマー軍幹部らを「ジェノサイド(集団殺害)」で訴追する要件を満たしているとの判断を示しており、国際刑事裁判所(ICC)の予審部門がすでに捜査に着手している。

 仏教徒が多数を占めるミャンマーは、ほとんどがイスラム教徒のロヒンギャの市民権や基本的権利を認めることを拒否。ロヒンギャを「ベンガル人」と呼び、バングラデシュからの不法移民であるとの主張を暗に示している。(c)AFP