【7月17日 AFP】イランは16日、フランスとイランの二重国籍を持つ人類学者を拘束していると発表した。司法当局の報道官が記者会見で明らかにし、その模様を司法当局の公式ニュースサイト「ミザン・オンライン(Mizan Online)」が放映した。報道官は拘束の詳細を明らかにしていない。

 拘束されているのはファリバ・アデルカ(Fariba Adelkhah)氏(60)。2015年のイラン合意の維持を目指す取り組みが重大な局面を迎える中、今回の拘束で仏、イラン間の緊張が増す恐れがある。

 ファリバ・アデルカ氏はフランスの名門大学、パリ政治学院(Sciences Po)に所属し、イランとイスラム教シーア派(Shiite)の専門家として知られている。パリ政治学院は、拘束は「受け入れられず、衝撃的」な行為だと表明した。

 フランス政府は15日までに、ファリバ・アデルカ氏が逮捕されたことと、領事の面会をイラン側に拒否されたことを明らかにしていた。エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は同日、ファリバ・アデルカ氏の処遇を懸念していると表明。「(イランのハッサン・)ロウハニ(Hassan Rouhani)大統領に異議を伝え、説明を求めた」が、今のところ実質的な説明はなされていないと述べた。

 ファリバ・アデルカ氏の友人のフランス人学者、ジャンフランソワ・バイヤール(Jean-Francois Bayart)氏はAFPに対し、ファリバ・アデルカ氏が予定の6月25日にイランから帰国しなかったことを受け、同僚と共にフランス当局に通報したと説明。「イランは二重国籍を認めないため、イランにとって彼女はイラン人だ。そのせいで、領事面会が認められていない」との見方を示した。

 イランに拘束されている同国と他国の二重国籍者は多い。バイヤール氏によるとファリバ・アデルカ氏は研究のため1977年に渡仏した。(c)AFP/Kay Armin Serjoie