【7月16日 AFP】第2次世界大戦(World War II)中の暗号解読者アラン・チューリング(Alan Turing)が、英国の新50ポンド札のデザインに選ばれた。英中央銀行のイングランド銀行(Bank of England)が15日、発表した。チューリングは戦後に同性愛行為の罪で有罪となり、数十年前に悲劇的な死を遂げていた。

 チューリングは、初期のコンピューター開発で中心的な役割を果たしたが、1952年に19歳の男性との重大わいせつ行為で有罪となり、そのキャリアは閉ざされた。禁錮刑は免れたものの、化学的去勢の処分を受けたチューリングは1954年、青酸中毒により41歳で死去。自殺したとみられている。

 イングランド銀行のマーク・カーニー(Mark Carney)総裁は、イングランド北西部マンチェスターの科学産業博物館(Science and Industry Museum)で行われた新紙幣の発表会で、「計算機科学と人工知能(AI)の父、そして戦争の英雄としてのアラン・チューリングの貢献は広域に及び、新しい道を切り開いた」と述べた。

 チューリングは2013年、エリザベス女王(Queen Elizabeth II)から死後恩赦が与えられた。2017年には「アラン・チューリング法」が施行され、英国で過去に存在した同性愛行為禁止法の下で警告を受けたり、有罪とされたりした男性が死後恩赦を受けた。

 間もなく退任予定のテリーザ・メイ(Theresa May)英首相は、「チューリングの遺産と、LGBT(性的少数者)の人々がわれわれの国へもたらした素晴らしい貢献を新50ポンド札として記憶にとどめておくことは、ふさわしいというほかない」と述べた。

 新50ポンド札に使われたチューリングの写真は1951年に撮影された。新紙幣は、2021年末までに流通が開始される予定。(c)AFP