【7月15日 AFP】台湾の最大野党・国民党(KMT)は15日、来年1月に行われる総統選の党公認候補として、南部・高雄(Kaohsiung)市の市長を務める韓国瑜(Han Kuo-yu)氏(62)を擁立することを発表した。

 国民党の予備選には、富士康科技集団(フォックスコン、Foxconn)を傘下に置く鴻海(ホンハイ)精密工業(Hon Hai Precision Industry)の前会長で、台湾一の富豪とされる郭台銘(テリー・ゴウ、Terry Gou)氏も挑戦していたが、韓氏が大差で勝利した。

 この予備選の結果は、中国本土に大工場を築き、米アップル(Apple)の「iPhone(アイフォーン)」をはじめとする電子機器の製造業で巨万の富を得た郭氏の功績に、大きく水を差す形となった。

 一方、対中政策が最大の争点となる来年の総統選で、蔡英文(Tsai Ing-wen)総統からの政権奪取を狙う最大野党による親中派・韓氏の擁立が波乱を呼ぶことは必至だ。

 韓氏は支持者からは、率直な物言いの一匹狼で、凝り固まった国民党の政策を刷新してきたしがらみがない政治家とみなされているが、批判勢力は同氏の対中関係改善を目指す言動に懸念を抱いている。

 同党の予備選は一般市民に電話調査で票を募る方式で行われ、5人の候補者のうち、韓氏は45%の支持を獲得。郭氏は28%にとどまった。(c)AFP