【7月10日 AFP】米国で9日、公文書を渡す見返りに中国の情報機関から金銭を受け取り、捜査当局に虚偽の供述をしたとして、米国務省の元女性職員に禁錮3年4月と罰金4万ドル(約440万円)の刑が言い渡された。

 国務省によると、キャンディス・マリー・クレイボーン(Candace Marie Claiborne)被告(63)は共謀により米国を欺いた罪について認めているという。米国では現在、中国情報機関による機密情報へのアクセス権限を持つ米当局者の取り込みをめぐる裁判が複数進んでおり、注目を集めている。

 クレイボーン被告は国務省の内勤職員として北京や上海に駐在していたが、司法省によると同被告は2007年、相手が中国国家安全省の情報部員と知りながら男2人との接触を開始。中国側は米国務省の活動に関する文書や情報と引き換えに、被告に多額の現金や物品を提供したという。

 捜査の結果、被告は2年前に逮捕されたが、スパイ行為の罪では起訴されなかった。

 被告は2019年4月、共謀によって米国を欺いたこと、捜査当局に虚偽の供述をしたこと、高度の機密情報に触れる権限を持つ政府当局者でありながら、外国の情報部員との接触を違法に隠蔽(いんぺい)したことを認めた。

 被告は5年の禁錮刑が科される可能性もあった。

 米連邦捜査局(FBI)のクリストファー・レイ(Christopher Wray)長官は5月、中国は米国にとって情報活動上の最も重大な脅威だと述べている。(c)AFP