【7月10日 AFP】ヤギの鳴き声は人間の声に非常に似ているだけでなく、仲間に対して感情を表現する際に重要な役割を果たしているとする研究論文が9日、動物学専門誌「フロンティアーズ・イン・ズーオロジー(Frontiers in Zoology)」に発表された。動物が持つ感情の複雑さに対する理解が深まる研究結果だ。

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 実験では、研究者らがバケツに詰めた餌を持ってヤギに近づき、うれしそうな声を録音。また、他のヤギが餌をもらっているのに自分だけ餌がもらえていないヤギから、不満そうな鳴き声を録音した。そしてこれら2種類の鳴き声を、隠したスピーカーからヤギに聞かせ、その反応を調べた。

 鳴き声の種類を切り替えると、ヤギは声のする方を向いて歩き回る傾向を見せた。このことから、ヤギは鳴き声に込められている感情を区別できることが示唆された。

 さらにヤギの心拍の変化を測定したところ、うれしい鳴き声を聞いた時には気楽でリラックスした状態となり、悲しい声を聞いた時には不安な状態になることが分かった。このことは、群れの中に苦痛を感じているヤギがいる場合、もしくは満足しているヤギがいる場合、周囲にいるヤギにも波及効果をもたらすことを意味している。

 論文の主執筆者で英ロンドン大学クイーンメアリー校(Queen Mary University of London)のルイージ・バカドンナ(Luigi Baciadonna)氏はAFPに対し「私たちは動物の福祉や、農場で飼育されている動物の生活の改善について頻繁に話し合っており、(今回の研究結果は)極めて重要だ」と述べた。

 バカドンナ氏は今後、人間が表すさまざまな感情にヤギが反応する能力を持つかどうか調査していくという。(c)AFP