【7月7日 AFP】イランの最高指導者アリ・ハメネイ(Ali Khamenei)師の外交政策顧問、アリ・アクバル・ベラヤティ(Ali Akbar Velayati)氏は、ハメネイ師の公式ウェブサイトに5日掲載されたインタビューの中で、イランが製造する濃縮ウランの濃度を5%に引き上げることを示唆した。

 ベラヤティ氏は「ブシェール(Bushehr)原発の原子炉には濃度5%の濃縮が必要で、これは完全に平和的な目標だ」と述べた。ブシェール原発はイラン唯一の原発で、現在は国際原子力機関(IAEA)の監視の下、ロシアから輸入した核燃料を使用している。

 米国は昨年5月8日、主要6か国とイランの間で2015年に結ばれた核合意から離脱し、その後、対イラン制裁を強化した。これを受けてイランは今年5月8日、イラン核合意で定められた義務の一部である濃縮ウランと重水の貯蔵量の制限の履行を停止し、さらに7月8日から濃縮ウランの濃度引き上げなどにも踏み切る可能性もあると表明していた。

 2015年の核合意はイランが製造する濃縮ウランの濃度上限を3.67%と定めていた。これは原子力発電には十分だが、核兵器製造に必要な90%以上という濃度よりはるかに低い濃度だ。

 またイランは、核合意によって凍結されていたイラン中部アラク(Arak)の重水炉の建設作業を7月7日から再開する構えも見せていた。アラクの重水炉は将来、プルトニウム生産に使われる恐れもある。

  仏大統領府によると、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領は6日、イランのハッサン・ロウハニ(Hassan Rouhani)大統領と電話で会談し、「核合意弱体化のリスクへの深刻な懸念」を伝えるとともに、緊張緩和のためイランおよびその他の関係国などと、交渉再開に向けて協議すると述べた。(c)AFP