【7月3日 AFP】タイで5月、浜辺に打ち上げられた生後6か月のジュゴンの赤ちゃんが保護された。「マリアム(Mariam)」と名付けられ、地元の保護団体や獣医師らが育てているこの幼いジュゴンの画像はソーシャルメディア上で人気を集め、海洋保全への関心喚起にも一役買っている。

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 マリアムは今、トラン(Trang)県のリボン島(Ko Libong)付近の海で暮らしている。海洋沿岸資源局(DMCR)が、その最新情報を頻繁に更新している。

 雌のジュゴンは通常、泳ぎながら赤ちゃんに授乳するが、獣医師らにはまねできない。

 そこで獣医師のパトムポン・コンジット(Pathompong Kongjit)氏は、「マリアムを抱っこしてミルクを与え、その後に周辺を泳がせることで消化器系を刺激している」と話している。

 さらに「マザー・オレンジ」と名付けたオレンジ色のカヌーを使い、マリアムについて泳がせ、体を鍛えているという。

 人間の友人らに依存しているようにも見えるマリアムだが、パトムポン氏によると、マリアムは環境に適応することを学んでおり、もう浜辺で立ち往生することもないという。ただこれからも最低1年は、マリアムの世話をしていく予定だとしている。

 パトムポン氏はマリアムが、プラスチックごみがあふれるタイの海の浄化という喫緊の課題を象徴する存在になっていると話す。

 その上で、「海洋動物のすみかとなる海の状態が悪ければ、われわれがどれだけの数の動物を救助できたとしても何にもならない」と指摘している。(c)AFP