【7月1日 AFP】長年フィリピンに放置され、同国政府が返送していたカナダの廃棄物コンテナ69個分が29日、カナダに到着した。これで廃棄物をめぐる両国の外交問題は解決したが、東南アジア諸国が「世界のごみ捨て場」にされる現状にうんざりしている様子が浮き彫りとなった。

 コンテナ69個分の廃棄物を積んだ貨物船がカナダ・バンクーバー(Vancouver)近郊の港に停泊しているのを、現地のAFP記者が確認した。地元当局によると、廃棄物は今後、廃棄物発電施設で焼却処分される見通し。

 事の発端は、カナダの民間企業が2013年と14年、リサイクル可能なプラスチックとして不正確に表示された廃棄物をフィリピンに輸出したことだった。フィリピンが法律でプラスチックと家庭ごみの混合物の輸入を禁止しているにもかかわらず、コンテナの中身は紙やプラスチック、電子機器、生ごみやおむつを含む家庭ごみなどが一緒くたになったものだった。廃棄物の一部はフィリピン国内で処分されたが、大半は長年、暑さの中、同国の港で放置されていた。

 この問題をめぐり両国関係は悪化していたが、フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領が今年4月、カナダ政府に廃棄物の引き取りを要求し、応じない場合はカナダに対する「宣戦布告」も辞さない構えを示したことで、緊張が頂点に達した。

 カナダは5月15日の廃棄物の引き取り期限に間に合わなかったものの、その後まもなく廃棄物受け入れの取り決めをしていた。(c)AFP/Alia Dharssi