【6月26日 AFP】ジャレッド・クシュナー(Jared Kushner)米大統領上級顧問(38)は25日、バーレーンで開いた会合で、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の中東和平構想の経済部分を公表した。

 クシュナー氏は、同構想によって停滞するパレスチナ経済に500億ドル(約5兆円)が注ぎ込まれるとする一方、和平協定を望むのであれば、まずは「経済の道筋に関する合意」が必要だと指摘。パレスチナ側にこの「世紀の機会」を受け入れるよう呼び掛けた。構想の経済部分は、インフラ、観光、教育分野への数十億ドル規模の投資を確約する内容。

 同氏はトランプ大統領の娘婿で、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相とも家族ぐるみの友好関係を築いている。

 トランプ大統領の中東和平構想は長らく発表が待たれていたもので、米国主導で開かれた「経済ワークショップ」の開幕演説で公表された。パレスチナ指導部は会合への参加を拒否しているが、クシュナー氏は、トランプ政権はパレスチナ人を「見限って」いないと強調した。

 クシュナー氏は席上、データを基軸とした企業幹部風のスタイルで講演し、「率直に言って、パレスチナの人々に経済の成長と繁栄がもたらされるには、紛争に対する恒久的かつ公正な政治的解決策、すなわちイスラエルの安全保障を担保するとともに、パレスチナの人々の尊厳に配慮した解決策が不可欠だ」と述べた。

 同氏は政治的解決の必要性を認める一方、政治面の計画は今後発表されると述べ、まずは構想の経済部分を受け入れるようパレスチナ側に求めた。

 パレスチナ自治政府と、パレスチナのガザ(Gaza)地区を実効支配するハマス(Hamas)は、どちらもクシュナー氏の「繁栄に向けた平和」構想を一蹴。トランプ氏は臆面もなくイスラエルの肩を持ち、パレスチナを買収して国家樹立を放棄させようとしていると批判した。

 パレスチナ自治区のヨルダン川西岸(West Bank)にあるユダヤ人入植地では、パレスチナ人数百人がバーレーンでの会合に対する街頭抗議行動を実施。ヘブロン(Hebron)近辺ではトランプ大統領とバーレーン国王の写真が燃やされた。(c)AFP/Shaun Tandon