【6月21日 AFP】ラグビー元オーストラリア代表のスター選手で、同性愛者への暴言を繰り返して同国ラグビー協会(Rugby Australia)から解雇されたイズラエル・フォラウ(Israel Folau)が、協会を訴えている裁判の費用を工面するために立ち上げたクラウドファンディングに寄付金が集まっていることが21日に判明した。

 敬虔(けいけん)なクリスチャンとして知られるフォラウは、ソーシャルメディア上でゲイや自分が罪人とみなす人々には「地獄が待っている」と書き込み、先月協会の審議会で「重大な」行動規範違反を犯したと認定された。

 これを受けてフォラウは、自分の行為は聖書の言葉を引用しただけであるとして、オーストラリアの雇用監視機関である公正労働委員会(FWC)に申し立てを行っている。

 報道によるとフォラウは、雇用者が信仰を理由に従業員を解雇するのを禁止する公正労働法に基づき、主に協会側の契約違反と一方的な契約終了を訴えているとされている。

 しかし、協会側と裁判で争うための費用は決して安いものではなく、30歳のフォラウは世界で最も高い給与を手にしていた選手の一人にもかかわらず、サポーターに300万オーストラリア・ドル(約2億2300万円)の寄付を募った。するとこれまでに、2700人から25万5000オーストラリア・ドル(約1855万円)が集まった。

 計73試合のテストマッチでプレーしたフォラウは20日、クラウドファンディングサイトGoFundMeに、「契約終了は違法であり、オーストラリアラグビー協会とスーパーラグビー(Super Rugby)のNSWワラタス(NSW Waratahs、オーストラリア)に対する法的手続きを開始したのはそのためだ」とのメッセージを投稿した。

「これに対して、オーストラリアラグビー協会はすでに、『多額の資金を流用して』私と裁判で闘う意向を示している」「君たちの支援に深く感謝する。これは人生を懸けた闘いであり、少しずつの寄付でも助けになる」

 この問題に対処するため、フォラウはこれまで10万オーストラリア・ドル(約740万円)の自己資金を費やしていることに加え、仮に高等裁判所まで持ち込まれれば解決には何年もかかる可能性があると訴えた。

 スーパーラグビーで最も高い得点力を誇っていたフォラウは同日、ツイッター(Twitter)に#standwithizzyのハッシュタグを立ち上げ、「オーストラリア人には、不安や差別なしに職場で宗教上の教えを実践する権利があると信じるか?」と問いかけた。

 シドニーの現地紙デーリー・テレグラフ(Daily Telegraph)は、フォラウが数百万ドルもの不動産ポートフォリオを所有しているとして、同選手を「恥知らず」と批判した。

 さらに同紙のウェブサイトでは、読者からのさまざまな意見が飛び交っており、「厚かましいやつめ。お前の膨らんだポケットにもう少し深く手を突っ込んでみろよ、イジー(フォラウ)」という投稿や、「この問題で恥知らずなのは、オーストラリアラグビー協会の対応だけだ」との声も上がっていた。(c)AFP/Martin PARRY