【6月20日 AFP】2014年にウクライナ東部でマレーシア航空(Malaysia Airlines)MH17便が撃墜され、乗客乗員298人が死亡した事件で、国際捜査チームは19日、ロシア人3人とウクライナ人1人を殺人罪で起訴すると発表した。同事件で容疑者が裁判にかけられるのは初めて。ロシア外務省は声明で、「全く根拠のない嫌疑」だと反発した。

 4人はいずれも軍や情報機関とのつながりがあり、裁判は来年3月にオランダで開始される予定。だがロシアとウクライナはいずれも自国民の外国への身柄引き渡しには応じないため、裁判は被告人欠席のまま行われる可能性が高い。

 同便は、オランダの首都アムステルダムからマレーシアの首都クアラルンプールに向け飛行中、親ロシア派分離勢力が支配するウクライナ東部の上空でミサイル攻撃を受け墜落した。

 オランダが率いる国際捜査チームは、イーゴリ・ギルキン(Igor Girkin)、セルゲイ・ドゥビンスキー(Sergei Dubinsky)、オレク・プラトフ(Oleg Pulatov)のロシア人3容疑者と、ウクライナ人のレオニード・ハルチェンコ(Leonid Kharchenko)容疑者に対する国際逮捕状が出されたと発表。4人はいずれも、ウクライナ東部で分離派が樹立を宣言した「ドネツク人民共和国(Donetsk People's Republic)」に参加した疑いが持たれている。

 オランダのフレット・ベステルベーケ(Fred Westerbeke)検察官は記者会見で、4人が「自らボタンは押していない」ものの、ロシアからウクライナ東部への地対空ミサイル「ブク(Buk)」搬入に関与したと説明。「われわれが彼らの身柄引き渡しを要求しないのは、ロシアとウクライナの法律が自国民の外国への引き渡しを禁じているからだ。だが、ロシアに対しては改めて協力を求める。疑問の多くが答えられていないままだ」と述べた。(c)AFP/Charlotte VAN OUWERKERK with Danny KEMP in The Hague