【6月19日 AFP】五輪2大会連続の金メダリストである陸上女子中距離のキャスター・セメンヤ(Caster Semenya、南アフリカ)が18日、自身を「モルモット」として使ったとして国際陸上競技連盟(IAAF)を批判した。

【特集】キャスター・セメンヤをめぐる「性別」問題

 セメンヤは、男性ホルモン値が基準より高い「高アンドロゲン」の女子選手が400メートルから1マイル(約1600メートル)の種目に参加するためには、体内のテストステロン値を人為的に下げなければならないという新規定をめぐって、IAAFと対立している。

 その中でこの日、セメンヤは「IAAFは過去にも私をモルモットとして利用し、彼らの求める医療が私のテストステロン値にどう影響するかを実験した」「ホルモン剤だけでも気分の悪さがずっと続くのに、IAAFは今、健康にどのような影響が出るかも分からないまま、さらに敷居を高くしようとしている」とコメントを発表した。

「IAAFがこれ以上、私と、私の体をもてあそぶのを許すわけにはいかない。しかし私が心配しているのは、他の女性アスリートが無理やりIAAFに薬を使わされ、さまざまなホルモン剤の効果や体への悪影響をテストされること。そんなことがあってはいけない」

 2012年のロンドン五輪と2016年のリオデジャネイロ五輪で、800メートルの金メダルを獲得しているセメンヤは、同種目を制した2009年の世界陸上ベルリン大会(12th IAAF World Championships in Athletics Berlin)の頃に性別検査を受け、結果は公表されていないが男性と女性の両方の特徴を持っていることが示されたといわれている。セメンヤはその後、2010年7月まで8か月にわたって大会出場を禁止されていた。

 今回のIAAFの新規定については、適用に異議を唱えるセメンヤの訴えを、スポーツ仲裁裁判所(CAS)が「差別的」ではあるが公平性を確保するには「必要」だとして却下した。しかし、その後にセメンヤが上訴したスイス連邦最高裁判所は、逆に規定を一時停止。再適用を求めたIAAFの要請も退けている。(c)AFP