【6月17日 AFP】4月に起きた軍事クーデターで失脚したスーダンのオマル・ハッサン・アハメド・バシル(Omar Hassan Ahmed al-Bashir)前大統領の身柄が16日、検察当局に送致された。

 バシル前大統領が公衆の面前に姿を現したのは、クーデター後初めて。伝統的な白い式服とターバンを身に着けた前大統領は、首都ハルツームのコベル(Kober)刑務所から武装した軍用車列で検察局へ送られた。

 スーダンでは過去30年にわたって強権政治を行ってきたバシル前大統領に対し、数か月にわたる抗議デモが行われていたが、4月11日に起きたクーデターで前大統領は失脚に追い込まれた。

 検察当局者は報道陣に対し、前大統領には失脚後、「外貨保持、汚職、贈答品の違法な受け取り」などの罪に問われていることを通告してあると述べた。

 一方、クーデター後に統治に乗り出した暫定軍事評議会のモハメド・ハムダン・ダガロ(Mohamed Hamdan Dagalo)副議長は国営テレビで放映された演説で、今月、軍本部前で多数の死者を出した座り込みデモの強制排除をめぐり、暴力を行使した者には死刑が言い渡されるだろうと宣言した。

 ハルツームの軍本部前では数週間にわたって座り込みデモが続けられていた。しかしデモ隊は6月3日、武装した軍服姿の男らに強制的に排除され、参加者の大半は同日のうちに撤退を余儀なくされた。

 抗議運動に近い医師らは、この弾圧による死者は少なくとも128人に上ったと主張している。一方保健省は、3日の死者数は全国で61人だったと発表している。

 デモの参加者や目撃者は、ダガロ氏が率い、住民らに恐れられている準軍事組織「即応支援隊(Rapid Support Forces)」がデモ隊を攻撃したと非難している。米高官や反政府デモの参加者らは、弾圧に関して独立組織による調査の必要性を訴えている。(c)AFP/Abdelmoneim Abu Idris Ali and Jay Deshmukh