【6月17日 AFP】香港で中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案の撤回を求めていたデモ隊は17日午前、占拠していた幹線道路から移動し、交通が再開された。現地で取材中のAFP記者が伝えた。

 警察は同日朝から普段は交通量が多い立法会(議会)前の幹線道路に残っていた数百人のデモ隊に退去するよう求め、最終的にデモ隊は警官隊と特に対立することなく道路の占拠をやめた。残っているデモ隊の大半は近くの公園に移動した。

 前日の16日に行われた大規模デモは、主催者発表によると約200万人が参加し、路上を埋め尽くした。高まる圧力を受け、林鄭月娥(キャリー・ラム、Carrie Lam)行政長官は16日夜、「矛盾と紛争を招き、多くの市民に失望と悲しみを与えた」との声明を出して謝罪したが、改正案の撤回はせず、辞任要求にも応じていない。

 条例改正に対する市民の怒りの激しさを目の当たりにした林鄭氏は、既に改正案の審議の延期を発表していた。だが、黒服を着た大勢の群衆は蒸し暑さの中、何時間もかけて立法会までの道を行進し、同氏の辞任を求めて声を上げた。

 主催者の発表した参加者数が正しければ、デモの規模は103万人が集まったとされる9日の約2倍となり、天安門(Tiananmen)事件直前の1989年5月に北京の学生らの民主化運動に共感して行われた支援デモの約150万人という記録も抜いて、香港史上最大となる。

 デモ参加者は数千人が17日朝まで路上で抗議を続けたが、警官隊がデモ隊を遮る様子はなかった。

 デモ隊は、林鄭氏の長官辞任と改正案の完全撤回、警官隊が市民に催涙ガスやゴム弾を使用したことへの謝罪を要求している。主催者の市民団体「民間人権陣線(Civil Human Rights Front)」は、17日も「香港市民の声が聞き届けられるまで」デモを継続すると述べていた。(c)AFP/Yan ZHAO, Jerome TAYLOR