【6月16日 AFP】野生の雄パンダと保護施設育ちの雌パンダをつがいにして子を産ませ、飼育下の個体群の遺伝的多様性を高めようという中国での取り組みが12日、ギネス世界記録(Guinness World Records)に認定された。

 この取り組みで生まれた双子が1歳近くまで成長し、保護施設の芝生を転げ回る姿は、中国のパンダ保全事業における重要な成果を象徴している。

 パンダは国際自然保護連合(IUCN)のレッドリスト(Red List、絶滅の恐れのある野生生物種のリスト)で「危急(絶滅危惧Ⅱ)」種に挙がっているが、保全事業などの成果で絶滅の危険性は低下している。

 双子の名前は兄が「和和(Hehe、調和の意)」、妹が「美美(Meimei、幸福の意)」で、現在の体重はそれぞれ20.2キロと17.6キロ。2頭は今週、飼育舎から出されて100人前後の訪問客にお披露目され、ミルクを飲んだり、ササをはんだりする姿を見せた。

 和和と美美は昨年7月25日、四川(Sichuan)省のパンダ保護・研究施設、核桃坪(Hetaoping)で生まれた。2頭の誕生は、野生のパンダから飼育下の個体群に遺伝子を導入する試みの成果。妊娠、出産に至るまでには、施設で育った雌を野生のパンダ生息地に連れて行き、野生の雄とつがいになるのを1か月余り待つ必要があった。

 核桃坪基地の動物管理部長、劉暁強氏は、2頭の誕生は遺伝的多様性向上の取り組みにおける「大きな前進」だと説明。この成功により、今後、研究者らによる同様の取り組みが可能になると述べた。

 2頭は現在、四川省のパンダ保護・研究施設、神樹坪(Shenshuping)で他の70頭のパンダと共に暮らしている。映像の冒頭で飼育員がなでているのが和和。その隣が美美。13日撮影。(c)AFP/Lillian DING