【6月14日 AFP】英植民地時代から「アジア最高」をモットーに掲げてきた香港警察が、「逃亡犯条例」改正案をめぐる抗議デモで武器を持たない参加者を殴打したことで市民の怒りを買い、暴力的だとして非難の的となっている。

 香港警察は12日、主要道路を占拠するなどした数万人のデモ隊を解散させるため、催涙ガスや唐辛子スプレー、ゴム弾、暴徒鎮圧用のビーンバッグ弾を使用した。この衝突で79人が負傷し、うち2人が重体となっている。

 警察側は、デモ隊がれんがや金属棒を投げ付けてきたため必要な対応だったと主張しているが、大多数が平和的にデモを行う中、ごく少数の強硬的な活動家によって局所的に発生した暴力行為を口実に、デモ隊全体を対象とした前例のない規模の取り締まりに乗り出したことに、批判の声が上がっている。

 衝突の模様は、報道各社が一日中、生中継で伝えていた。またデモ参加者も、過剰に暴力的な対応をする警官らの姿を映した多数の動画をインターネット上で共有していた。こうした動画が拡散したことで13日、警察の対デモ戦術に批判が殺到した。

 香港の弁護士会「香港大律師公会(Hong Kong Bar Association)」は、「大多数が武器を持たず、警察や社会全般に何らかの差し迫った脅威をもたらしているとも思えないデモ隊に、全く不要な武力を行使した」と非難した。

 また、香港行政長官を選出する選挙委員会の有力な法律顧問団も、警官らによる「行き過ぎた力の行使」について独立した調査を行うよう求めた。

 香港記者協会(Hong Kong Journalists Association)には、15人以上の記者から、唐辛子スプレーの標的にされたなど警察の対応をめぐる苦情があった。協会では、他にも警察から暴力を受けた記者らがいないか証言を集めているという。

 香港警務処(警察)の盧偉聡(Stephen Lo)処長は13日、警官らの対応を擁護。衝突では警官22人も負傷したと述べた一方、警察の暴力行為に対する苦情があれば捜査を行うと弁明した。(c)AFP/Helen ROXBURGH