【6月11日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は10日、移民問題をめぐる米・メキシコ合意の具体的内容をめぐり論争が起こる中、移民流入が止まらなければメキシコからの輸入品に関税を課すと改めて警告した。メキシコ政府は合意について、同国入りした移民の難民申請を米国ではなくメキシコに対して行うよう義務付ける施策を棚上げし、45日以内に再検討することを受け入れたと明らかにしている。

 対メキシコ関税は、同国を通過して米国国境に到着する中米出身の移民の急増を止めるため、メキシコ政府に一層の措置を取らせることを目指す戦略。実行されればメキシコ経済に大きな損失が生じる恐れがあったが、トランプ氏は7日に発動の無期延期を宣言していた。今回の警告はツイッター(Twitter)への連続投稿によるもので、延期宣言から3日で圧力を再開したことになる。

 トランプ氏は、合意に盛り込まれた詳細不明の秘密条項に言及し、条項にはメキシコ議会の承認が必要だと説明。その上で「いかなる理由であれ、承認に向かっていないのであれば関税は復活する!」と言明した。

 同氏は詳細に踏み込まなかったが、メキシコ側は中米出身の不法移民の流入が今後も止まらなかった場合、トランプ氏が優先する要求事項、いわゆる「安全な第三国合意」について再協議することで米側と一致したと表明している。

 両国は先週、米ワシントンでマラソン協議を実施。メキシコ側交渉団を率いたマルセロ・エブラルド(Marcelo Ebrard)外相によると、同外相は「第三国合意」を拒み、「メキシコ側が挙げた措置の有効性を確かめる期間を定め、効果がなければ追加的な措置を検討する」よう提案。45日以内にこの問題を再検討することで米側と一致した。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)は、米・メキシコ合意の主な条項に新しい内容はなく、事実上、関税発動を警告する数か月前に合意していたことだと報道。トランプ氏のツイッター投稿は、これを批判する中でなされたもの。

 トランプ氏はツイート後、米ニュース専門放送局CNBCへの発言で報道内容を否定。合意の非公開部分に「非常に強力な道具」が盛り込まれていると述べた。(c)AFP/Joshua Howat BERGER