【6月11日 AFP】18-19NBAファイナル(7回戦制)は10日、カナダ・オンタリオ(Ontario)州トロントで第5戦が行われ、試合終了間際にステフェン・カリー(Stephen Curry)とクレイ・トンプソン(Klay Thompson)の連続3ポイントシュートで点差を開いた昨季王者のゴールデンステイト・ウォリアーズ(Golden State Warriors)が、106-105でトロント・ラプターズ(Toronto Raptors)から逃げ切り勝ちを収め、3連覇に望みをつないだ。

 ウォリアーズは、31得点のカリーと26得点のトンプソンの活躍でシリーズ戦績を2勝3敗として踏みとどまり、13日に地元カリフォルニア州オークランド(Oakland)で行われる第6戦に臨むことになった。この試合に勝てば、勝負は敵地トロントで迎える16日の第7戦に持ち込まれる。

 カリーは「やるか、やられるかだ」「後半は上出来とはいかなかったが、とにかくシュートを打った」とコメント。しかし、ウォリアーズは2017年と18年にNBAファイナルの最優秀選手(MVP)に選出されたスター選手のケビン・デュラント(Kevin Durant)を再び失うことになり、勝利に暗い影を落とす結果となってしまった。

 今プレーオフで、この試合を前にチーム最多の1試合平均34.2得点、5.2リバウンド、4.9アシストを記録していたデュラントは、この試合で右ふくらはぎのけがから待望の復帰を果たしたものの、12分間のプレーで11得点を記録しただけで右アキレス腱(けん)を断裂し、チームメートに支えられながらコートを後にした。アリーナを去る際には松葉づえをついており、11日にMRI検査を受けることになっている。

 ウォリアーズを率いるスティーブ・カー(Steve Kerr)ヘッドコーチ(HC)は、「まずは素晴らしい度胸と根性を示した選手たちを誇りに思う。その一方で、ケビンに関しては、とにかく打ちのめされた」とすると、「今は全員が複雑な心境だ。素晴らしい勝利であると同時に、恐ろしい損失となってしまった」と語った。

 ウォリアーズがここ5シーズンで4度目のタイトル獲得を目指している中、ラプターズは創設24年にしてつかみかけていた悲願の初優勝が痛恨のお預けとなった。しかし、歴史はラプターズに味方している。

 過去のNBAファイナルにおいてシリーズ3勝1敗で王手をかけた34チームのうち、タイトルを逃したのは2016年にレブロン・ジェームズ(LeBron James)を擁するクリーブランド・キャバリアーズ(Cleveland Cavaliers)に敗れたウォリアーズだけとなっている。

 ラプターズは第3クオーター終了までに最大14点差をつけられていたものの、この日チーム最多の26得点を記録したカウィ・レナード(Kawhi Leonard)が3ポイントとジャンプシュートを立て続けに決め、試合時間残り3分28秒で103-97とこの試合最大のリードを築いた。

 ラプターズを率いるニック・ナース(Nick Nurse)HCは、「現代では、試合時間残り3分で6点のリードがあっても不十分だ」「あの時点で流れは良かった。とにかく、あと数プレーするだけだった」と振り返った。

 対するウォリアーズは、トンプソンとカリーが立て続けに3ポイントを沈めると、再びトンプソンの3ポイントシュートが決まって残り57秒で106-103と勝ち越しに成功した。

 すると、残り30秒にはラプターズもカイル・ローリー(Kyle Lowry)のシュートで1点差に詰め寄り、さらにスクリーンを仕掛けようとしたウォリアーズのデマーカス・カズンズ(DeMarcus Cousins)のファウルで、タイトル獲得に向けて最後のチャンスをつかんだ。

 しかし、ウォリアーズはダブルチームでレナードを封じ込めると、ドレイモンド・グリーン(Draymond Green)も終了間際のコーナーからのローリーの3ポイントを阻み、地元ラプターズファンの大声援はこの瞬間にショックで静まり返った。

 カーHCは、「終盤にかけてディフェンスでは負けていたが、手を緩めることはせず、最後のブロックは圧巻だった。最後は5人全員が素晴らしいディフェンスを見せていた」と選手を称賛した。(c)AFP/Jim SLATER