【6月10日 AFP】日産自動車(Nissan Motor)が株主総会で提案する予定のガバナンス(企業統治)体制改革案について、提携関係における影響力低下への警戒から、筆頭株主の仏自動車大手ルノー(Renault)が成立を阻止すると日産側に警告していたことが分かった。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が伝えた。

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 ルノーのこの対応で、前会長のカルロス・ゴーン(Carlos Ghosn)被告のスキャンダルをめぐってぎくしゃくしている日産との関係が、さらに緊張を増すのは必至とみられる。

 FTによるとルノーのジャンドミニク・スナール(Jean-Dominique Senard)会長が、日産の西川広人(Hiroto Saikawa)最高経営責任者(CEO)宛ての非公開書簡で、日産のガバナンス体制の刷新計画案について株主総会で投票を棄権する意向を伝えたという。

 この議案の成立には出席株主の3分の2以上の賛成票が必要なため、筆頭株主のルノーが棄権すれば不成立となる。ただしFTは、スナ―ル会長の動きに詳しい関係筋の情報として、ルノーが態度を変える可能性もあるとも伝えている。

 AFPはルノー広報に取材したが、報道内容を認めるコメントは得られなかった。

 ルノーは日産との経営統合を推し進めているが、日産側には統合に対する根強い疑念がある。(c)AFP