【6月8日 AFP】国際エネルギー機関(IEA)は7日、天然ガスに関する年次報告書を発表し、2018年は世界中で天然ガスの需要が急増して「最盛期を迎えた1年」だったと評した。これを受けて環境保護団体からは、天然ガスが気候に与える影響について懸念の声が上がっている。

 IEAの報告書によると、天然ガスの需要は昨年4.6%上昇し、2010年以来最大の伸び率となった。また、世界全体のエネルギー消費の総増加量のうち、45%を天然ガスが占めた。

 天然ガス需要の急増は、米国における生産量の拡大に加え、中国で石炭に代わる燃料として需要が伸び続けていることが要因となっている。

 IEAは、天然ガスが大気汚染を改善し、温室効果ガスの排出量増加を抑制するのに一役買ったと主張している。

 しかし、化石燃料の使用を削減する必要性を唱えて科学的に警鐘を鳴らす声は強まっており、環境・エネルギー分野の専門家らは、天然ガス需要の急増は地球の気候に深刻な影響を及ぼしかねないと主張している。天然ガスは石炭よりは低公害だが、人為的な二酸化炭素(CO2)排出の一因となる化石燃料であることに変わりはないからだ。

 天然ガスは、必要なインフラの大部分がすでに整い、豊富に供給されているため、石油と石炭から再生可能エネルギーに移行する間の「過渡期の燃料」と表現されることが多い。(c)AFP/Patrick GALEY