【6月6日 CNS】100メートル短距離走のように猛然とダッシュし、シャッターを押し開け、マネキンの服を引き剥がす―――。こうした危険行為が3日、中国各地のユニクロ(UNIQLO)店舗内でみられた。SNSでも、「狂ったような奪い合い」などと伝えられた。

 この日は、米ニューヨークを拠点に活動するデザイナー「カウズ(KAWS)」とユニクロとのコラボ商品が発売された。オンラインとオフラインの両方で奪い合いとなり、コラボTシャツの価格はたった1日で、新品価格の99元(約1552円)が「中古品」は500元(約7837円)以上へと跳ね上がった。

 ユニクロの北京崇文門新世界百貨店の店員によると、3日の奪い合いのシーンについて、「顧客は若い男性が多かった。コラボTシャツの売り場は人がいっぱいで、開店30分後にはコラボ製品は全てなくなった」という。

 店舗で大騒ぎとなっていたころ、インターネット上でも奪い合いが繰り広げられていた。ネット通販プラットフォームの「天猫(Tmall)」によると、ユニクロとKAWSのコラボ商品は、発売から3秒で完売。コラボ商品の人気に影響されたのか、その他の商品の検索数も37倍と、爆発的に増加したという。

 ストリート・アーティストのカウズは、2016〜17年にユニクロとのコラボで幾つかの商品を手掛けたことがあったが、今回のコラボ商品の発売前には、「今回が最後」とのうわさが流れていた。

 コラボ商品が爆発的人気となった理由について、「ユニクロはファストファッションで低価格が特徴。一方、カウズは彫刻や絵画などの高価格なブランドで、収蔵する価値がある。今回のコラボ品は庶民が買える唯一のカウズだ」という人もいる。

 3日午後、中国の中古商品の取引プラットフォーム「閑魚(Xianyu)」には、ユニクロの実態店舗で奪い合いとなったばかりのカウズのコラボTシャツが、早くも大量に出品されていた。

 ファッション業界のある専門家は、「ユニクロのコラボ品の販売は一種の『飢餓商法』であり、背後には成熟した運営体制が築かれている。インターネット宣伝のプロが企画し、ホットなニュースを作り出してブランド影響力を拡大する手法は最近多く見られ、成功している。ユニクロの商品はコスパに優れ、多くの既存ユーザーがいるので、影響力は大きい」と語る。(c)CNS/JCM/AFPBB News