【6月5日 AFP】北朝鮮政府は、壮観なプロパガンダであるマスゲーム公演を来週から一時中止する。複数の旅行会社が5日、明らかにした。これに先立ち、金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-un)朝鮮労働党委員長が、ショーの内容を酷評していたとされる。

 今年の演題は「人民の国(The Land of the People)」。3日に初回公演が行われ、10月まで続く予定だった。

 しかし朝鮮中央通信(KCNA)が伝えたところによると、金委員長が「誤った創作精神と無責任な制作態度」を理由に制作者らを「厳しく批判」。その後、北朝鮮へのツアーを運営している旅行会社に、公演の「一時中止」の連絡が入ったという。

 中国・北京を拠点とする北朝鮮専門旅行会社、高麗ツアーズ(Koryo Tours)はAFPに対し、「マスゲームの一部の調整や変更を行う」間、ショーは10日から一時中止されるとの連絡を受けたと明かし、再開の時期については言及がないとしている。

 何が金委員長の逆鱗(げきりん)に触れたのかは不明だが、北朝鮮ウオッチャーらは、金委員長の祖父である故金日成(キム・イルソン、Kim Il-sung)国家主席と、父である故金正日(キム・ジョンイル、Kim Jong-il)総書記の肖像画に並んで、正恩氏の肖像画が背景で使用されていたことに着目。

 正恩氏の肖像画が公に掲げられるのはまれで、知られている限り彫像もないとされる。

 国営朝鮮中央テレビ(KCTV)が4日にマスゲームについて報じた際、金委員長本人が李雪主(リ・ソルジュ、Ri Sol-ju)夫人と共に公演を観覧した様子は放送されたものの、肖像画は一切映っていなかった。

 別の旅行会社の青年先鋒旅行社(Young Pioneer Tours)はツイッター(Twitter)に、マスゲームの一時中止の理由は「金正恩氏が初回公演に不満を示したため」と投稿している。(c)AFP