【6月4日 AFP】シリア北西部の反体制派支配地域で3日、政権側による爆撃があり、民間人6人が死亡した。ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領はその数時間前、シリアの政府側勢力に「爆撃をやめろ」と要求していたが、これを無視した形。

 シリア政府および同政府と同盟関係にあるロシアは4月下旬以降、シリア北西部イドリブ(Idlib)県と近隣地域を爆撃。在英NGO、シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)によると、これまでに300人余りが死亡した。また国連は、5月だけで27万人近くが家を追われたとしている。

 ロシアは3日、イドリブ県と近隣地域でのシリア軍の作戦を非難する国連安全保障理事会(UN Security Council)声明の採択を阻止した。

 ロシア政府はAFPが確認した文書で、声明案はシリア東部の町ハジン(Hajin)やバグズ(Baghouz)に言及しておらず、「バランスを欠く」と指摘した。これらの場所では、米国が支援するクルド人勢力がイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」に攻勢を仕掛けた際、民間人への被害が生じていた。

 イドリブ県一帯をめぐっては昨年9月、ロシアとトルコの仲介で停戦合意が成立したにもかかわらず、暴力が発生。すでに8年間で37万人余りが死亡したシリア内戦でも前例のない、大規模な人道危機が生じる恐れが高まっている。

 同県は現在、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の傘下組織の元構成員らを中心とする反体制派集団「タハリール・アルシャーム機構(HTS)」が掌握している。

 ロシア政府は3日、同国軍はイドリブ県一帯にいる「テロリスト」だけを標的にしていると強調。HTSが民間人やロシア兵を攻撃していると非難した。(c)AFP