【6月3日 AFP】アフリカ北西部モーリタニアで今月大統領選挙が行われるのを前に、アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)をはじめ約30の人権団体が3日、候補者らに対し、奴隷制の根絶を要求した。

 サハラ(Sahara)以南アフリカの貧困国モーリタニアでは今月22日、2期目で最後となる任期を終えて退任する現職モハメド・ウルド・アブドルアジズ(Mohamed Ould Abdel Aziz)大統領の後任を決める選挙が行われ、6人が立候補している。

 極めて保守的でイスラム教徒が多数を占める同国では、奴隷制は1981年に公式に廃止されているものの、根強く残るこの伝統の制度が大きな問題となっている。

 同国では2015年に奴隷制を、20年以下の収監が言い渡される可能性のある「人道に対する罪」とみなす新法を制定。さらに、奴隷制をめぐる問題に特化した3つの裁判所も設立されたが、起訴に至る事例はまれとなっている。

 何世代にもわたって続いてきたこの制度の下、「奴隷」の身分とされる人々は主に牧夫や家事労働者として無償労働を強いられている。

 奴隷扱いを受けている人々の数を調べた公式統計はないが、複数のNGOの推計によると、2016年には最大で4万3000人いたとされ、これは人口の約1パーセントに当たる。

 アムネスティおよびモーリタニアに在する30のNGOは6人の候補者らに対し、人権擁護を目指す12の約束を盛り込んだマニフェストへの署名を求めた。

 モーリタニアの人口は450万人。アフリカ系、アラビア系、ベルベル系が混在し、中でもアフリカ系の住民が差別を受けることが多いという。(c)AFP