【6月8日 AFP】中国国内のソーシャルメディアには、本土で禁じられている出生前診断で性別を判定するため、香港に妊婦の血液サンプルを密輸している仲介業者の広告が堂々と投稿されている。組織化されたこうしたビジネスが繁盛している背景には、本土では、子どもの数を制限してきた長年の政策と伝統的に男子を望む傾向から、性別を選択する違法な人工妊娠中絶の需要が非常に高いことが挙げられる。

 中国当局は2015年、こうしたビジネスの取り締まりを宣言した。しかし、政府がインターネットのコンテンツを検閲することはよく知られているにもかかわらず、中国版ツイッター(Twitter)「微博(ウェイボー、Weibo)」には、血液サンプルの密輸を行う代理店の広告が躍っている。

 中国本土では、性別選択するための中絶が行われた結果、男性の方が女性より約3160万人多く、昨年生まれた女子100人に対する男子の数は約115人だった。このため、健康上の理由を除き、出生前性別判定は禁止されている。

 長年続けられていた一人っ子政策は2016年に緩和され、子どもは2人まで認められるようになったが、出生前性別判定は引き続き行われている。1人目は女子だった親たちの多くが、2人目には男子を望んでいるためだ。

 香港でも性別判定は違法だが、密輸された血液サンプルを黙認しているとみられる診療所もある。

 AFPが客を装って接触した代理店3社は、約580ドル(約6万3000円)で香港にある検査施設の予約手配や血液サンプルの輸送サービスを提供しており、妊娠6週以降から検査は可能だと主張した。

 代理店は顧客から保証金を受け取ると、検査キットを送付する。ある代理店は顧客に対し、アプリを使って中国本土の自宅まで来てくれる看護師を雇い、血液を採取してもらう方法を提案していた。