【6月3日 AFP】オーストラリアのスコット・モリソン(Scott Morrison)首相は3日、南太平洋の島国ソロモン諸島に総額2億5000万オーストラリアドル(約188億円)の資金援助を行うと発表した。オーストラリアは南太平洋で増大する中国の影響力に直面している。

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 モリソン首相は、2週間前の総選挙で勝利し再任されてから初となる外遊でソロモン諸島を訪問。マナセ・ソガバレ(Manasseh Sogavare)首相と会談し、支援を表明した。

 この支援計画は、モリソン首相がリンダ・レイノルズ(Linda Reynolds)国防相、マリス・ペイン(Marise Payne)外相と共に主導する三本柱の政策の一環。豪政府はこの政策を通じ、南太平洋における経済安全保障の推進を目指している。

 資金援助プログラムでは、ソロモン諸島で早急に必要となっているインフラ整備に融資し、今後10年間で多岐にわたるプロジェクトを支援する。また、ソロモン諸島の国民にオーストラリアで労働する機会を提供するほか、国内のラグビー事業の発展も支援する方針だ。

 モリソン首相とソガバレ首相は共同声明で、「オーストラリアとソロモン諸島はこれからも緊密に協力し、地域社会の結び付きを強めつつ共通の課題に取り組んでいくことによって、関与を強めていく」と述べた。

 さらに両首脳は、防衛・安全保障でも「より深い協力」を通じて「太平洋地域に安全と繁栄、安定をもたらす」ことを約束したとしている。

 ソロモン諸島は、台湾と外交関係を結んでいる数少ない国の一つ。だが、天然資源の減少で経済成長が鈍化し、貧困に直面する中、中国から台湾と断交して大経済圏構想「一帯一路(One Belt One Road)」に参加するよう圧力を受けている。

 台湾の蔡英文(Tsai Ing-wen)総統は先ごろ、日本、米国、オーストラリアに対し、「価値観に基づくパートナーシップ」を台湾と共に構築して太平洋における中国の勢力拡大を阻止しようと呼び掛けていた。(c)AFP