【6月1日 AFP】レバノンのイスラム教シーア派(Shiite)原理主義組織ヒズボラ(Hezbollah)の指導者が5月31日、米国とイランの関係が緊迫化する中、イランに戦争を仕掛ければ中東全域を巻き込むと警鐘を鳴らした。

 親イランのヒズボラを率いるハッサン・ナスララ(Hassan Nasrallah)師はテレビ演説で、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領と米政権、米情報機関は「イランに対するいかなる戦争も、イランの領土内に収まらないことを十分理解している」と指摘。「イランに対する戦争は、中東全域での勃発を意味する」とし、対イラン戦争が起きる可能性は低いとの見方を示した。

 さらに、「あらゆる米部隊、米勢力が(標的として)認められることになる」とも述べた。

 ヒズボラは米国から「テロ組織」に指定され、米国の同盟国である南の隣国イスラエルと複数回にわたって交戦してきた。

 ナスララ師はまた、米国が提案するイスラエルとパレスチナの和平案も非難。トランプ氏が「世紀の取引」と呼ぶ和平案を「無益な取引」「歴史的な犯罪」と呼び、「この取引はパレスチナ人とアラブ人、イスラム教の権利を失わせるものだ」と述べた。

 イスラエル寄りの内容になるとみられる米国の和平案について、パレスチナ側は拒否する姿勢を示している。(c)AFP