【5月28日 AFP】国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は28日、北朝鮮で食料や衣料品といった生活必需品の入手が非合法の市場に依存しており、人権侵害につながっている現状に懸念を示し、これらの物品を合法的に売買できる枠組みを構築するよう、同国政府に要求した。

 北朝鮮では1990年代半ばに、国の食料配給制度が崩壊。人権団体の推計によると、以来非合法市場での商業活動に依存している人が国民全体の4分の3近くに上っているという。

 OHCHRは市民214人への聞き取り調査を実施。その報告書には、「北朝鮮では、公的配給制度が破綻して不安定で非公式な業界が残り、人々は訴追と汚職の危険性にさらされている」と書かれている。

 その上で、公的配給制度に頼らずに食料と衣料品を入手するしか生活必需品を確保する手段がないにもかかわらず、政府がこれを合法と認めていないと指摘している。

 報告書には、両江道(Ryanggang Province)出身で脱北した女性の「国からの指示に従っているだけでは餓死する」という証言も記されている。

 OHCHRは、「腐敗した政府関係者らへの賄賂や仲介料を支払う意思や能力がある人しか、それなりの生活水準を確保できない」として、北朝鮮は「法律および制度の抜本改革に取り組む」べきだと訴えている。(c)AFP