【5月28日 AFP】ブラジル南部ミナスジェライス(Minas Gerais)州で27日、鉱山採掘大手バーレ(Vale)が所有する鉱滓(こうさい)ダムが決壊する可能性があるとして、周辺住民約6000人が避難訓練を行うなどの警戒態勢が敷かれた。決壊が起これば、数百万トンの有害な汚泥が町や川、森に押し寄せる危険がある。

 同州では今年1月、同じくバーレ所有の鉱山の鉱滓ダムが決壊し、242人が死亡したばかり。

 バーレと緊急対応当局は、同社が所有する閉山中の鉱山「ゴンゴソコ(Gongo Soco)」の一部が崩落する恐れがあるとし、これが1.5キロ離れた場所の鉱滓ダム「スルスペリオル(Sul Superior)」の決壊につながる可能性があると警告している。

 ゴンゴソコは2016年に閉山し、スルスペリオルには700万立方メートル近い鉱山廃棄物が貯留されている。

 同ダム周辺では今年2月、ゴンゴソコの監視システムが採掘場の北側斜面で異常な動きを検知したこと受け、住民400人余りが避難した。

 この斜面は通常なら1年で約10センチ動くが、過去数か月でそれが加速。27日の国内報道によると、ここ数日は1日に20センチを超える動きが見られている。

 ゴンゴソコの東にあるバロージコカイス(Barao de Cocais)市の「第2安全区域」では住民約6000人が警戒を強め、緊急事態に備えて避難訓練を行った。

 決壊が発生した場合、周辺住民は1時間半以内に避難する必要がある。

 バーレは24日、「対応班を常時待機させている」が「最終的に斜面が崩落した場合でも、それがダム決壊の引き金になることを裏付ける技術的データはない」と説明。その上で、「あらゆる予防措置」が取られているとした。

 同社は24時間体制でのダム監視を続ける一方、洪水が発生した場合に流出物を抑えるため、6キロ下流での防壁の建設を進めるとともに、水流を弱めるための障害物を設置している。(c)AFP