【5月27日 AFP】「政争は水際まで」──外交に与野党の対立を持ち込んではならないとする米政治の金言を、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領に続き、ホワイトハウス(White House)までもが無視する事態となっている。

 来日中のトランプ氏は25日(日本時間26日朝)、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長が「スワンプマン(沼男)のJoe Bidanを低能呼ばわりして、もっとひどい表現も使ったのには笑った」とツイッター(Twitter)に投稿した。

「Bidan」は民主党のジョー・バイデン(Joe Biden)前米副大統領の名前のタイプミスで、後に訂正された。だが、海外滞在中に独裁者の見解を借りて政敵を攻撃したトランプ氏のやり方に、バイデン氏の陣営のみならず米国内で厳しい批判が噴出している。

 これについて、サラ・サンダース(Sarah Sanders)米大統領報道官は26日、トランプ氏と正恩氏はバイデン氏に対する見解で一致していると述べ、批判を一蹴した。
 
 米NBCテレビの番組に東京から衛星中継で出演したサンダース氏は、「前米副大統領をめぐり、米大統領が原則として、残忍な独裁者の肩を持つ。それを米国人が心配して何がいけないのか」と問われ、「大統領はそちらの肩を持ったわけではない」と反論。「ただ、2人はジョー・バイデン前米副大統領に対する評価では一致したのだろう」「大統領は、バイデン氏の評価について、第三者の意見を必要としてはいない」などと語った。

 バイデン氏は上院議員を6期務めた後、バラク・オバマ(Barack Obama)前政権で副大統領に就任。2020年米大統領選の民主党候補指名争いでは、20人近い立候補者の中で最有力候補と目されている。(c)AFP