【6月3日 AFP】アメリカンフットボールの選手が同年代の野球選手に比べて、特に神経変性疾患や心臓疾患での死亡率が高いという最新の研究結果が、米ハーバード公衆衛生大学院(Harvard School of Public HealthHSPH)で環境疫学と生理学を担当している教授グループによって発表された。

 今回の研究は米ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)の選手が高いリスクにさらされる理由や、病気の発症率を増加させるメカニズムを突き止めることが目的ではないものの、競技の種類によって病気の発症率に違いがあり、さらなる研究が必要であるということが問題提起されている。

 また、アメフト選手と野球選手を比較することに意味があるのは、両者がプロアスリートとして同等の健康状態にありながら、片方は頻繁に激しくぶつかり合うのに対し、もう片方はそうではないためと説明している。

 国際的な医学雑誌「JAMA Network Open」に掲載されたこの論文は、過去30年に及ぶNFL選手3419人と大リーグ(MLB)選手2708人の死亡率と死因を調べた、レトロスペクティブ(後ろ向き)分析の結果に基づいている。

 そして10年ごとに生まれた年代を区切り、人種の違いなどを考慮に入れた結果、アメフト選手は野球選手と比べて死亡率が26パーセント高いことが判明。NFLの選手は心臓疾患の場合は2.5倍、神経変性疾患で死亡する確率が3倍も高かったという。

 しかし、これらのリスクはいくつかの要因で高まるとはいえ、データを推定して絶対値に当てはめた場合、その数値は低いとされている。

 MLBの選手と比較すると、55歳までに神経変性疾患で死亡するNFL選手は1000人につき1人多く、75歳まで調べると11人多くなっている。これが心臓疾患の場合、55歳までに死亡する人数は1000人につき16人多く、75歳までには77人も多くなっている。

 しかしながら論文の著者は、NFL選手がMLB選手と比べて肥満度指数が高いことが関係している可能性があることに加え、いずれにせよ心臓疾患は米国で最も高い死因であることも指摘した。

 研究グループのリーダーは、「予防可能な死や早すぎる死は、一人だけでも多すぎる。従って科学者や臨床医はさらに研究を進め、こうした死亡率の増加の裏に隠された理由を一つずつ解明していくことが重要である」と述べた。(c)AFP