【5月24日 AFP】メキシコに住む、アドリアナ・マシアス(Adriana Macias)さん(41)は、生まれつき両腕がない。しかし、その両足で、日常生活のほぼすべてのことをこなすことができる。

 ロースクールを卒業したものの、障害があるゆえに弁護士としての仕事を見つけられなかったマシアスさん。今はファッションデザイナーとなって活躍している。デザイン画を描くのも、もちろんその両足だ。

 先月メキシコで行われたファッションウィークで、マシアスさんは障害のある人でも簡単に着ることができる服のコレクションを初めて発表した。その服は躍動感あふれる色合いのデザインだ。ファッションショーでは障害のあるモデルがランウェイを歩き、車椅子のモデルも登場した。

 マシアスさんは、他の子どもたちが手を使って行うことは足を使ってできるようにと、赤ん坊のころから両親に教えられてきた。今では、食べることも飲むことも、執筆も描画も、料理も掃除も、そして3歳になった娘に服を着せることも、足を使って行っている。つま先には指輪やきれいなネイル。時々そのつま先にあごをのせて休んだり、足を器用に使って長い髪をとかしたりもする。

 20歳までは義手を使っていたものの、その重みで肩を痛めてしまうようになり、使用を諦めざるを得なくなった。

「オフィスに来て、靴を脱いで、仕事に応募するなんて、みんな奇妙だとかショックだとか思ったみたい」。マシアスさんが執筆活動を始めたのは、それがきっかけだった。そんな彼女は今では3冊も本を出版し、講演もこなし、そしてデザイナーとしても働く。 「足を使って、1分間にできるだけ多くの誕生日ケーキのろうそくに火をつける」という挑戦で、11本というギネス世界記録(Guinness World Records)も所持しているほどだ。

 映像は15日撮影。(c)AFP