【5月23日 AFP】地球最古となる10億年前の菌類の化石が発掘されたとする研究論文が22日、発表された。陸上の生物の進化に対する認識を塗り替える発見となる可能性もある。

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 この数十年間、知られている中で最古の菌類は、約5億年前に陸上に出現したと考えられてきた。しかし最近、カナダで発掘された菌類の化石を最新の年代測定技術で分析した結果、菌類は最初期に陸上に出現した生物の仲間入りを果たす可能性がある。

 ベルギー・リエージュ大学(University of Liege)大学院博士課程のコランタン・ロロン(Corentin Loron)氏らは、菌類の化石の化学組成を分析し、菌類の細胞壁を形成する繊維状物質キチンが存在することを突き止めた。さらに化石が含まれていた石に放射年代測定を実施し、化石は9億~10億年前のものと結論付けた。

 ロロン氏は、菌類は生物系統樹の中で植物や動物と同じ真核生物と呼ばれる分類群に属しているので、今回の発見は重要だと主張する。

 さらに「菌類が約9億~10億年前に存在していたとすれば、動物も存在していたに違いないということだ」「こうした生物群は今も存在しているので、世界の認識を塗り替えるものだ。こうした遠い過去は、今日とは非常に異なるが、われわれが考えていたよりもはるかに『現代的』だったのかもしれない」と語った。(c)AFP