2019.05.21

CARS

Z4の凄さがわかる! ライバル、ジャガーFタイプ・コンバーチブルとポルシェ718ボクスター乗り比べ。

新型BMW Z 4上陸記念、オープンカー乗り比べ対決! ドイツ代表はもちろんポルシェの入門オープン・スポーツカーのボクスター。一方、イギリス代表はジャガーのFタイプ・コンバーチブル。さて、楽しいのはどれだ? ENGINE編集部が試乗します。

ボクスターはクラシカルな純スポーツカー

村上 さて、Z4のライバルといえば、やっぱりポルシェの718ボクスターは外せない。

齋藤 まさににもう1台といえばジャガーFタイプのコンバーチブルというのはいい選択なんじゃない。

村上 アウディにはTTロードスターがあるけど。

塩澤 TTロードスターはサイズ的には少し小さい。

村上 元々ベースはA3だからね。あとメルセデス・ベンツにはバリオルーフのSLCがある。

齋藤 今回はメタル・トップではなくて幌で揃えた。それに、もしかするとSLCは現行型でおしまいで、次はないかもしれない。

荒井 いやぁ、でも今回は3車3様で面白かった。Z4はもちろんなんだけど、ボクスターに乗り換えると軽い軽い。

塩澤 やっぱり、ボクスターはそもそもオープンカーというよりスポーツカーだからね。

齋藤 そうなんだよ。機械的レイアウトが全然違う。Z4は後輪駆動の2座スポーツカーとして成立させるためのレイアウトになっているし、ボクスターはミドシップの4気筒ターボで、これはもう純スポーツカーだよね。そこへ行くとFタイプ・コンバーチブルはセダンでも使えるようなパワートレイン・レイアウトの、なんとなれば4駆も簡単に成立させられるようなプラットフォームを使っている。

塩澤 Fタイプだけが成り立ちが違うけど、Z4もボクスターも根っからのスポーツカーというわけね。

齋藤 でも、ベースのレイアウトにかかわらず、3台ともこれ以上ないっていうくらい、素晴らしいデキだった。


ポルシェ718ボクスター


ジャガーの神チューニングに感動

塩澤 これはいい意味でだけど、ジャガーはどことなくクラシカルな感じがした。

齋藤 それはやっぱり、機械的なレイアウトがスポーツカーのそれではないからね。重量配分で言っても、前後だけじゃなくて上下でも明らかにジャガーは重心が高い。

荒井 ベースがそれで、あれだけ走れるものになっているというのは、ジャガーのチューニングは見事ですよ。山道もスポーツカーのように走ったしね。

齋藤 クルマのデキは、その素性を越えられないというけれど、一方ではチューニングでなんとでもなるというのも真理だから。そういう意味ではボクスターやZ4は素性からして有利というわけだ。

荒井 ジャガーのアシのチューニングは素晴らしい。よく頑張ったという感じがする。

齋藤 もし3台でタイムを競うようなヒルクライムでもしたら、ボクスターとZ4には勝てないかもしれないけど、単独で走っている限りは、速いし、気持ちがいいし、バランスもいい。

塩澤 ジャガーは少しボディがユルく感じたけど、そこがおおらかでいいと思った。なにも目を三角にして走るばかりがオープンカーの良さじゃないからね。

荒井 その点、ボクスターは屋根が開いていようが閉まっていようが関係なく、走りに集中できるクルマだと思った。

齋藤 山で乗ると、ボクスターが圧倒的に有利。くねくね道を走るためにあるようなクルマだもの。

塩澤 Z4やFタイプと違ってフロントにエンジンがない。コーナリング・マシーンだからね。ワインディングで乗ったらボクスターの独壇場ですよ。

齋藤 重心が低くて鼻先の軽いものがグイグイと曲がる感じは半端じゃない。ところが真っ直ぐな道をドーンと行くときは、Z4やFタイプと比べるとかなり劣勢。



ジャガーFタイプ・コンパーチブル


 一番お買い得なのは……

村上 僕はみんなと全然意見が違って、Z4からほかの2台に乗り換えたとき、こんなに差があるんだと心底驚いた。FタイプもボクスターもまったくZ4にかなわない。

塩澤 え? ポルシェ好きなんじゃないの?

村上 ボクスターは大好きなんだけど、そのボクスターでさえ新型のZ4に比べるとこんなに古くさいんだと思った。

齋藤 いったい、どこにそんなに差を感じたの?

村上 6気筒のエンジン。

一同 ああ、なるほど。



村上 エンジンの気持ち良さは、比較にならなかった。

齋藤 ボクスターもFタイプも4気筒だったからね。本来だったらZ4も4発を持ってくれば良かった。

村上 そうかもしれない。でもそれだけじゃない。ボクスターはシャシーはメチャクチャ高いレベルに出来てるから悪くはないけど、洗練度は明らかにZ4の方が上だった。だから逆にボクスターはGTSくらいを持ってこないと今回は厳しいと思った。GTSはボクスターのなかでも飛び抜けてスポーツ志向だからね。

塩澤 エンジンも乗り心地を含めた乗り味も飛び抜けて良くできているZ4に対抗するには、いかにボクスターといえども得意な所に特化して磨きこんだGTSのようなクルマでないと太刀打ちできないというわけだね。

齋藤 結局、ボクスターはダウンサイジングするときに自然吸気の6発をやめて、4気筒ターボにしたでしょ。今回は素のボクスターだから2リットルだったけど、たとえ2リットルであろうが2.5リットルであろうが、テイストを味わう方向での洗練というのを望むのは難しい。そうすると今後はGTSのようなハードコアなスポーツカーの方に収斂して行くしかない。もうかつてあったようなカジュアルな感じで、街中で乗ってもお洒落で、繊細な感じで気持ちがいいということにはならない。


 



村上 Z4は街中でひとつコーナーを曲がっても気持ちがいいけど、今のボクスターにはなかなか求めにくいのも事実なんだよ。

荒井 常に背中あたりでボーボー言ってうるさいわけだから、それはもう割り切ってボーボー言わせながら飛ばすしか仕方がない。

齋藤 ボクスターは6気筒から4気筒になることによって、クルマの基本的な性格付けが変わらざるを得なくなった。

荒井 女子座談会でも言ってたけど、飯田裕子さんも、一度手放したボクスターを買いなおすにあたって、結局6発を買いましたからね。

塩澤 今回の素のボクスターって幾らなの?

荒井 PDKは759万2000円。MTだと712万円。ところが今回の試乗車はいろいろオプションが付いて1000万円でした。

一同 ええええー!!!!

塩澤 オプションが付いた素のボクスターが1000万円か。それならGTSを買ったほうがいいかも。

荒井 Fタイプも300馬力のベース・グレードだけど、意外と高くて素の状態で977万円。

齋藤 ん~高い。

塩澤 4気筒なのに2台とも1000万円もする。



村上 だから言ったでしょ。今回のZ4がいかにすごいか。もう、勝負あった。試乗車のZ4は835万円で、オプションがついて結局幾らでしたっけ?

荒井 メタリック・ペイントが9万円。ハーマン・カードンのオーディオ・システムが5万4000円。オプションは合わせて14万4000円で、合計849万4000円。

村上 つまり、あんなに高級な感じなのに、装備類ははじめから付いているわけだ。あの革のシートも……

荒井 そう、それも最初から付いてる。このM40iにはですけどね。

村上 そう考えると、このM40iは、相当お買い得ですよ。決して安いクルマではないけど、ほかの2台と比べたら間違いなくお買い得。いやいやいやいや、値段を考えないで乗ってもZ4の圧勝だと思ったのに、さらに値段が一番安いと聞いては、もはやグーの音も出ません。


話す人=村上 政+齋藤浩之+塩澤則浩+荒井寿彦(すべてENGINE編集部) 写真=神村 聖


■ポルシェ718ボクスター

駆動方式 ミドシップ縦置きエンジン後輪駆動全長×全幅×全高 4385×1825×1280㎜ホイールベース 2475㎜トレッド(前/後) 1515/1530㎜車重 1390㎏エンジン形式 水平対向4気筒DOHC16バルブ直噴ターボ排気量 1987㏄車重 1390㎏最高出力 300ps/6500rpm車重 1390㎏最大トルク 38.7kgm/1950-4500rpm車重 1390㎏トランスミッション デュアルクラッチ式7段自動MT車重 1390㎏サスペンション前 ストラット/コイル車重 1390㎏サスペンション後 ストラット/コイル車重 1390㎏ブレーキ前後 通気冷却式ディスク車重 1390㎏タイヤ前後 235/45ZR18/265/45ZR18車重 1390㎏車両本体価格(税込) 759万2000円

■ジャガーFタイプ・コンバーチブル

駆動方式 フロント縦置きエンジン後輪駆動全長×全幅×全高 4480×1925×1310㎜ホイールベース 2620㎜トレッド(前/後) 1585/1597㎜車重 1670㎏エンジン形式 直列4気筒DOHC16バルブ直噴ターボ排気量 1995㏄最高出力 300ps/5500rpm最大トルク 40.8kgm/1500-2000rpmトランスミッション 8段ATサスペンション前 ダブルウイッシュボーン/コイルサスペンション後 ダブルウイッシュボーン/コイルブレーキ前後 通気冷却式ディスクタイヤ前後 245/45ZR18車両本体価格(税込) 977万円

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