【5月16日 AFP】(更新)中国が、スパイ容疑で数か月にわたって身柄を拘束していたカナダ人2人を正式に逮捕したことが分かった。カナダ紙グローブ・アンド・メール(The Globe and Mail)が16日、報じた。2人の処遇をめぐってカナダと中国の関係は緊張している。

 同紙はカナダ政府筋の情報として、元外交官のマイケル・コブリグ(Michael Kovrig)氏と、中国を拠点とする実業家で北朝鮮旅行を手配していたマイケル・スペーバー(Michael Spavor)氏は、いずれも逮捕されたが、まだ起訴はされていないと伝えている。

 カナダ外務省は同紙に対し「カナダ政府は、(2018年)12月10日の恣意(しい)的な拘束を非難したのと同じく、恣意的な逮捕を強く非難する」とコメントした。

 コブリグ氏とスペーバー氏は昨年12月に相次いで身柄を拘束された。その数日前にカナダ当局が、米国の要請に基づき中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ、Huawei)の孟晩舟(Meng Wanzhou)最高財務責任者(CFO)を逮捕しており、両氏の拘束は孟CFOの逮捕への報復だとする見方がある。

 中国は当初、2人が中国の国家安全保障を危険にさらしたと主張していた。これは、中国政府がスパイ容疑に用いる表現だ。その後、中国はコブリグ氏についてはスパイ容疑と国家機密窃取容疑に、スペーバー氏はコブリグ氏に情報を提供した容疑に問われていると発表した。

 中国では、他に2人のカナダ人が麻薬密輸で有罪となり、死刑判決を言い渡されている。また、中国政府は先ごろカナダ産のキャノーラ(菜種)と豚肉の対中輸出許可を取り消した。(c)AFP