【5月14日 AFP】フィリピンで13日に投開票された中間選挙の非公式集計で、ロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領を支持する勢力が優勢となり、上院では圧勝の見通しとなった。公式結果は数日中に発表される。

 ドゥテルテ大統領は2016年の就任以降、強硬な麻薬取り締まり政策で死者5000人以上を出し、国際社会の非難を浴びているが、国内の人気は高い。今回の選挙結果はドゥテルテ流に対する国民の支持を表した格好で、同大統領にとってはさらに論争を呼ぶ政策実施への道を開くものとなる。

 今回の中間選挙では、上院の定数のうち半数の12議席、下院の300議席近くが改選され、地方選挙も含めると全国で1万8000以上の公職ポストが改選の対象となっている。

 政府が票の集計を認めているカトリック教会系の選挙監視団体PPCRVによると、14日早朝までに94%が開票され、上院では政権支持派が9議席を獲得して圧勝する見通し。上院はこれまで、ドゥテルテ氏の政策を批判から守る防波堤となってきた。

 ドゥテルテ氏は麻薬取り締まり政策として、死刑制度の復活や刑事処分可能年齢の引き下げ(15歳から12歳へ)などを約束している。また全土の貧困問題に取り組むため地方の権限を拡大するとして、連邦制の導入を盛り込んだ改憲を目指している。

 しかし、ドゥテルテ氏自身に対抗する勢力は、改憲は大統領の再選禁止の撤廃につながりかねないと警告し、ドゥテルテ氏の任期延長や、国の民主制度の弱体化を狙ったものだと批判している。

 中間選挙の結果について政治アナリストのリチャード・ヘイダリアン(Richard Heydarian)氏は「ドゥテルテ氏独特の統治手法に白紙委任状を与えるようなもので、そこから論理的に引き出される帰結は、この国の政治制度の完全な変革だ」と述べた。(c)AFP/Ron LOPEZ