【5月20日 AFP】マレーシアスーパーリーグでプレーしていた10代の選手が、3年前にチームの練習施設で落雷に遭遇して死亡したのは、所属クラブのマラッカ・ユナイテッド(Melaka United)と同国サッカー協会(FAM)が安全対策を怠っていたためだとして、選手の父親が両者を相手取り訴訟を起こした。

 オーストラリア出身のGKステファン・ペトロフスキー(Stefan Petrovski)選手は、2016年4月5日にチーム練習に臨んでいた際に雷に打たれ、事故から1か月足らずで命を落とした。当時18歳だった同選手は心肺停止の間に酸素が欠乏して脳にダメージを受け、低酸素性虚血性脳症で亡くなった。

 父親のマルコ(Marco Petrovski)氏は今月初旬、マレーシアの首都クアラルンプールで弁護士と面会し、ペトロフスキー選手が死亡したのはクラブが適切な医療サポートや手当てを施さなかったためだとして、「ステファンに対して、マラッカは包括的な医療サポートや保険手当の提供を怠った」「チームは選手に対して、適切な練習施設を与えていなかった」と訴えた。

 さらに、「彼らは選手を落雷から保護するための安全装置をスタジアムに設置していなかった」「除細動器を使用して、落雷を受けた選手に30分間のCPR(心肺蘇生法)を施す義務もあった」とすると、「ステファンは、CPRを受けられずに死亡した」と主張した。

 マルコ氏はまた、事故の影響に関して調査を求めた際に、練習グランドに2週間半ほど立ち入りを拒否する妨害行為を受けたとしてクラブを批判すると、事故では理学療法士も落雷を受けたものの、回復してペトロフスキー選手にCPRを施したとするクラブの主張に反論した。クラブはこの件に関するコメントを拒否した。

「私の頭に引っかかったのは、チームの理学療法士も雷に打たれたのに、奇跡的に回復してステファンにCPRを施したということだ」「ステファンが運ばれた日に勤務していた医師らは、親である私たちに息子がCPRを受けていなかったと話していた」

 マレーシアでは特にモンスーンの時期が終わる3月下旬に落雷が多いことから、マルコ氏はペトロフスキー選手の死が「天災」だったとするクラブ側の主張が信頼性に欠けると感じている。

 マルコ氏はFAMを提訴した理由についても、同協会がマラッカにライセンスを与えていることから、選手にとって最善の利益を追求していないためと説明している。AFPの取材に対して、FAMはコメントを拒否した。(c)AFP/Paul Murphy