【5月10日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は9日、同国大リーグ(MLB)で2018年のワールドシリーズを制したボストン・レッドソックス(Boston Red Sox)のホワイトハウス(White House)表敬訪問を歓迎した。しかし、一部のスター選手とチームの指揮官は、同政権の政策に疑問を呈して参加を見送った。

 昨季のレギュラーシーズンで108勝を記録し、ワールドシリーズではロサンゼルス・ドジャース(Los Angeles Dodgers)をシリーズ4勝1敗で下したレッドソックスについて、トランプ大統領は「素晴らしい勝利を祝福する」「とても特別なチームだ」と短く述べると、欠席したメンバーについては何も言及しなかった。

 また、ホワイトハウスの公式サイトではレッドソックスの訪問を公表する際に、チームのスペルを一時的に「Boston Red Socks」と誤って表示する出来事があった。

 レッドソックスを指揮するアレックス・コーラ(Alex Cora)監督は、一部の選手とともに今回の訪問に参加しない決断を下した。米自治領プエルトリコ(Puerto Rico)出身の同指揮官は、ハリケーン「マリア(Maria)」で被災した母国に対するトランプ政権の対応を引き合いに、「残念ながら、われわれは今も苦しみ、闘い続けている」「今はホワイトハウスで祝う気分にはなれない」と説明していた。

 選手では2018年のア・リーグシーズン最優秀選手(MVP)に選出されたムーキー・ベッツ(Mookie Betts)をはじめ、デビッド・プライス(David Price)投手やジャッキー・ブラッドリー・ジュニア(Jackie Bradley Jr.)外野手らも出席を回避した。

 さらに、メキシコ出身の救援投手ヘクター・ベラスケス(Hector Velazquez)も遠征を見送る中、ラテン系米国人選手ではJ.D.マルティネス(JD Martinez)らが出席者に名を連ねた。

 キューバ系米国人のマルティネスは、トランプ氏の名前と背番号18が記されたユニホームを大統領に手渡し、「ホワイトハウスを表敬するという一生に一度の機会に感謝します」と語った。

 トランプ氏が大統領に選出された2016年以降、各スポーツの優勝チームによるホワイトハウスへの表敬訪問は、政治問題として話題を呼んでいる。ある集計結果では、これまで各リーグを制したプロおよび大学スポーツの20チームのうち、半数が招待されなかったり出席を拒んだりしたことが判明している。また、表敬に訪れたチームについても、その人数は限られていた。

 これまで欠席した中では、2017年と2018年にプロバスケットボール(NBA)でファイナル制覇を果たしたゴールデンステイト・ウォリアーズ(Golden State Warriors)と、ナショナルフットボール(NFL)で第52回スーパーボウル(Super Bowl LII)を制したフィラデルフィア・イーグルス(Philadelphia Eagles)が最も大きな話題を呼んだ。(c)AFP