【5月4日 AFP】イタリア・ルネサンスの巨匠レオナルド・ダビンチ(Leonardo da Vinci)が死去してから2日で500年となった。この謎多き天才の非凡な逸話を紹介する。

■「ダビンチはフランソワ1世に見守られ息を引き取った」は偽ニュースだった

 仏画家ジャンオーギュスト・ドミニク・アングル(Jean-Auguste Dominique Ingres)による1888年の作品には、ダビンチのパトロンだったフランソワ1世(King Francis I)が、ベッドに横たわり息を引き取る瞬間のダビンチを見守る様子が描かれている。

 美術史の父と呼ばれるジョルジョ・バザーリ(Giorgio Vasari)は1550年に書いた「芸術家列伝」で、ダビンチが「国王の腕の中で亡くなった」と記しており、アングルはこの記述から作品へのインスピレーションを得たとされている。

 しかし問題は、これが事実ではない可能性があることだ。記録では、フランソワ1世は5月3日に行われる次男の洗礼式のため、馬車で2日かかる仏パリ近郊のサンジェルマンアンレー(Saint-Germain-en-Laye)にいたことになっている。

 アングルの絵はパリのプティ・パレ(Petit Palais)に展示されており、この感傷的なフィクションを題材にしたものとしては最もよく知られている。同じ題材を取り扱ったものではこの他、アンボワーズ(Amboise)城に飾られているフランソワギヨーム・メナジョ(Francois-Guillaume Menageot)の1781年の作品がある。

■鳥と飛行に夢中

 ダビンチは自然を愛し、飛ぶことに魅了されていた。市場で売られている鳥が籠に閉じ込められているのをふびんに思い、言い値で買って、すぐに空に放してやることも多かったという。ダビンチが鳥が飛ぶのに夢中になっていたことは広く知られており、その仕組みを理解しようとしたことが飛行機械の創造につながった。