【4月29日 AFP】スペインで28日、総選挙が行われ、ペドロ・サンチェス(Pedro Sanchez)首相率いる与党・社会労働党(PSOE)が過半数には至らなかったものの第1党となる見通しとなった。一方で極右政党ボックス(VOX)が初めて国政で議席を獲得した。

 カタルーニャ(Catalonia)自治州がスペインからの分離独立を果たせなかった2017年以降の困難な情勢の中、サンチェス氏は敵対的な政党との連立を余儀なくされてきたが、今回の選挙結果を受けてスペインは、改めて不安定な時期に入る見通しが高まっている。

 下院(定数350)でサンチェス氏が党首を務める社会労働党は得票率約29%で123議席を獲得する見通し。過半数には達しなかったが改選前議席の84議席は大幅に上回った。

 サンチェス氏は28日夜、マドリードにある同党本部のバルコニーに姿を見せ、集まった支持者らを前に、「社会労働党は総選挙で勝利した。これにより未来が勝利し、過去が敗北したのだ」と述べて勝利宣言した。

 今回の選挙で最も大きな敗北を喫したのは前与党の中道右派・国民党(PP)で、前回選挙で得た137議席を大幅に下回る66議席にとどまるとみられる。

 サンチェス氏は、過去10か月間と同様、急進左派ポデモス(Podemos)やカタルーニャ分離独立派などとの連立を模索することになるだろう。57議席を得る見込みの中道右派シウダダノス(Ciudadanos)との連立を図る可能性もある。社会労働党とシウダダノスの議席を合わせれば過半数は超えるが、それぞれの党に投票した有権者から不満が出る恐れもある。

 最も顕著な変化は極右政党ボックス(VOX)の台頭だ。長期独裁を敷いたフランシスコ・フランコ(Francisco Franco)総統が1975年に死去して以来、スペインにこれと言った極右政党はなかった。

 元国民党のサンティアゴ・アバスカル(Santiago Abascal)氏が創立したボックスは24議席を獲得する勢い。もっとも、事前の世論調査で予想されていた議席数には届かなかった。

 選挙管理当局によると、緊迫した選挙戦を受けて投票率は前回2016年の66.48%を上回る75.76%だった。(c)AFP/Marianne BARRIAUX, Daniel SILVA