【4月24日 AFP】イングランド・プレミアリーグ、マンチェスター・シティ(Manchester City)に所属する同国代表のラヒーム・スターリング(Raheem Sterling)が23日、ファンが選手に対して人種差別行為をしたクラブから勝ち点9を剥奪するよう求めた。現在のペナルティーでは人種差別の問題は「解決から程遠い」としている。

 所属クラブと代表の両方で、ピッチ上で差別行為の対象になった経験を持つスターリングは、サッカー界における人種差別問題に対して積極的に発言している。先月行われた欧州選手権(UEFA Euro 2020)予選でモンテネグロのファンから差別的なチャントを浴びた際は、両手で耳を覆うセレブレーションで抗議した。

 スターリングは英紙タイムズ(Times)が23日に発表した人種差別に関するマニフェストに署名。このマニフェストでは、より多くの黒人、アジア人、他の人種・民族少数派(BAME)がサッカー界の権力を持ったポジションにつくこと、人種差別行為の厳罰化、そしてソーシャルメディア運営企業、スポンサー、既存のメディアがより積極的なアクションを起こすことを求めている。

 スターリングはタイムズの記事の中で「ロンドンで過ごした少年時代、学校に行くときやサッカーをしているときに人種差別がどういうものなのか分からなかった。一度もそういった行為に苦しんだことはなかったから」とつづり、以下のように続けた。

「なので2019年にもなって、愛するサッカーの根本的な改革を求める記事を新聞に書く必要があると感じるのはおかしいように思える。だが僕はそうする。サッカーにおける人種差別の問題は深刻で根深く、解決とは程遠いからだ」

「自分の見解では、この問題を解決するために運営陣がしていることは十分ではない。全然足りない」

 人種差別行為に対するペナルティーとして、スターリングは自動的に勝ち点9を剥奪し、3試合を無観客とすることから始めるべきだ考えており、現在の罰金制は十分な抑止になっていないと言う。

「厳しく聞こえるが、自分のチームが降格したり、優勝争いを台無しにしたりするリスクがある人種差別行為を犯すファンはいるだろうか?」

「少額の罰金はクラブや国に何のダメージも与えないが、スポンサーなら彼らに注意を喚起できる。今度クラブや運営組織が人種差別に適切な行動を取らなかったときは、企業は資金を引き上げて毅然(きぜん)とした態度を取ってほしい」

「変わるまでどれほどの時間がかかるか分からないが、僕らは今始めなければならない。次の世代の黒人選手たちに、この憎むべき行為の我慢を強いたくない」 (c)AFP