【4月23日 AFP】スリランカ各地の教会やホテルで21日に発生した連続爆発事件の捜査で、一連の犯行を同国のイスラム過激派組織「ナショナル・タウヒード・ジャマア(NTJ)」によるものとする見方が強まっている。NTJは昨年の仏像破壊事件への関与が伝えられていたものの、これまで知名度は低い組織だった。

 最大都市コロンボ(Colombo)などで起きた今回の一連の爆発には、極めて高度な計画性と連携が見られた。安全保障分析を専門とする米シンクタンク、ソウファン・センター(Soufan Center)は、イスラム教サラフィー主義のうちジハード(聖戦)を志向する過激派、とりわけ「外国から支援を受けている現地組織」の特徴が見られると指摘した。

 さらに同センターは、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)とインドネシアのイスラム武装勢力ジェマ・イスラミア(JI)が連携し、2000年12月24日に同国で実行した教会爆破や、アルカイダ系組織が主導した2005年のヨルダン首都アンマンでのホテル爆破に言及。「こうした襲撃は、宗派間の緊張を高めるとともに、対象国の政府を不安定にするために計画される」と説明した。

 同センターが1月に発表した報告によると、アルカイダとイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」は南アジアでの支持者獲得を目指し、「バングラデシュ、ミャンマー、インド、スリランカのイスラム教徒に対する不正義を強調する」プロパガンダを発信していた。

 スリランカでは昨年、イスラム教徒を標的とする仏教徒の暴動が複数発生。数か月を置いた12月には、NTJ支持者の犯行とされる仏像破壊事件が同国南部ケゴール(Kegalle)県で起こり、NTJの名前が広まるとともに、スリランカ国民の多数を占める仏教徒の間に怒りが沸き起こった。

 NTJ幹部のアブドゥル・ラジク(Abdul Razik)容疑者はこれまで、宗教的な騒乱を扇動したとして数回逮捕されたことがある。NTJは仏像破壊以降、過激思想への傾倒を強めている。

 この他、スリランカ治安部隊は1月、遠隔地にある野生動物公園の付近で、強力な爆薬100キロと起爆装置100個を発見。特定の組織の名前は挙がっていないが、当局によれば、これに絡んでイスラム過激主義者4人が逮捕されていた。(c)AFP