【4月23日 AFP】スリランカで21日に発生した、キリスト教の祝日イースター(復活祭)を祝う人々と外国人宿泊客を狙った連続爆発事件を受けて、コロンボ(Colombo)の遺体安置所では犠牲となった人々の身元確認が行われている。

 犠牲者の画像がスクリーンに映し出されると、悲しみに暮れる遺族らは目を手で覆ったり、泣き崩れたりした。犠牲者の傷だらけになった顔や手足がなくなった胴体の写真は心をかき乱すものだった。

 ローマ・カトリック教会の神父と仏教の僧侶が1人ずつ中庭の隅で待機し、母親、兄弟、子どもなど犠牲になった家族の身元を確認した遺族を手助けする措置が取られている。

 キリスト教会3か所と、高級ホテル3か所で発生した爆発で死亡した人々の遺体は、政府が管理する遺体安置所に運ばれた。遺族らは、スクリーンに映写される胸を締め付けられるような画像のスライドショーを見るため、暑さのなか安置所の外で列に並んでいた。

 18人の遺体が22日朝、遺族に返された。身元確認は肉体的にも精神的にもつらい作業だ。激しく損傷した多くの遺体はDNA鑑定しか身元を確認する手だてがないと当局者らは言う。

 1歳半の息子がいるという商店主のジャナカ・シャクティベル(Janaka Shaktivel)さん(28)は、事件で亡くなった妻の遺体を引き取るため、ぼうぜんとした様子で建物の外に座っていた。妻は、コロンボ市内で最も有名な教会の一つ、聖アンソニー教会(St. Anthony's Shrine)で起きた自爆攻撃で死亡した。

 シャクティベルさんは悲しみで青ざめた顔で、教会で妻と息子と一緒にろうそくを灯した時のことを覚えていると語った。「息子が泣き始めたので、私は息子を連れて外に出ようとした。妻は教会の中に残った」「ドアの前に来たところで耳をつんざくような音が聞こえ、急いで中に戻ると信じられない光景だった。必死で妻を探したけれど見つからなかった」

 シャクティベルさんはコロンボ市内の病院を巡り、最終的に遺体安置所にたどり着いた。そこで大勢の遺族らと同じように名前を呼ばれ、画像を見て遺体を確認した。「妻の遺体は、いつも付けていた結婚指輪で確認できた」「今の気持ちは言葉にできない」

 警察や医師らが画像を見終えた遺族に声をかけ、支援を申し出ていた。カトリックの修道女や神父らも葬儀についてアドバイスしていた。どうすることもできない遺体安置所の職員は、「前例のない状況です。できる限りのことをしています」と話した。(c)AFP/Abhaya SRIVASTAVA